提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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機械

スマート農業編 ロボットコンバイン

ロボットコンバインとは

「技術の概要」
●ロボットコンバインは、コンバインにGPSを利用した走行制御装置を取り付けて作業の自動化を図るとともに、収量センサ、タンパク質センサ、および水分センサのデータを地理(Geographic Information System,GIS)データに紐付けし、圃場やブロック単位での穀物の収量、タンパク質、含水量をデジタルデータとして測定・記録します。
●これらのデータは、収穫後の乾燥作業、次年度の施肥設計などに生かすことができ、作業の効率化ならびに栽培の改善による収量品質の安定向上、さらに経営の安定化に役立ちます。

コンバインの機能

「コンバインの種類」
●コンバインは、穀物を刈り取り、脱穀、選別、貯留、そして残りの茎や葉の切断や結束を行う作業を1台の機械で行うことができます。
●日本では、米や麦のように先端に穂がある作物を収穫するのに適した自脱コンバインと、豆類や雑穀などを収穫できる普通コンバイン(汎用コンバイン、大豆コンバインなどを含む)があります。

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図1 自脱コンバイン(京都大学のロボットコンバイン)

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図2 普通コンバイン(市販のロボットコンバイン)

「コンバインの作業手順」
●コンバインの一般的な作業手順は、圃場の角の部分を手鎌で先に刈り取り、コンバインが方向転換するときに作物を踏まないようにします。そのあと、外周から刈り取りを開始し、左回りに刈り取っていきます。
●コンバインの脱穀選別装置は、入ってくる穀粒量に応じて制御を行っているため、なるべく一定の速度で刈り取るようにし、脱穀と選別の状態が安定するようにします。なるべく一定の速度で刈り取るようにして、脱穀と選別の状態が安定するようにします。コンバインの脱穀選別装置は、入ってくる穀粒量に応じて制御を行っているためです。
●収穫した穀粒がタンクいっぱいに貯まったら、刈り取りを中断して運搬用トラックに積み替えます。このとき、排出オーガを使ってコンバインのタンクからトラックへと積み替えます。

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図3 作業手順

●また、収穫した米や麦の収量と品質(水分とタンパク質)を測定する装置を搭載したコンバインがあります。この装置を使えば、圃場単位で収量と品質を知ることができます。

▼参考情報: PFコンバインを活用した水稲の収量、食味の向上について(岡山県 平成27~29年度)

ロボットコンバインの機能

「ロボットコンバインと作業手順」
●ロボットコンバインは人工衛星測位システム(Global Navigation Satellite System,GNSS)を使って、基地局からの補正情報を受信して自動運転で刈り取りを行います(図1、図2)。※詳細は自動操舵(GPS)P5~を参照
●ロボットコンバインは、はじめに外周3周を有人運転で刈り取り作業を行うと、刈り残した部分の作物の領域をGNSSで計測した位置データとして記録し、そのデータから自動で刈り取る作業経路を作成します(図4)

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図4 作業経路のモニター画面

●自動運転を開始すると、作業経路に従って各部の調整や操舵等を自動で行いながら、誤差数cmの高精度で刈取りします。
●グレインタンクが一杯になれば、指定した積み替え位置まで自動で移動します(図5)。排出後は、刈取りを中断した場所へ戻り、作業を再開します。作業終了後には、圃場の端で停車します。

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図5 収穫した穀粒の積み替え作業

●コンバインの作業データ記録や作業進捗状況の把握と整理ができます。
●収量と品質のデータを地図情報と紐づけた圃場やブロック単位で測定記録すると、乾燥作業への情報転送や次年度作付け時に収量や品質向上のための施肥設計に役立てることができます(図6及び図7)。

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図6 収量マップ / 図7 タンパク質マップ

留意すべき点

「導入コスト」
●ロボットコンバインは従来のコンバインより高額になるので、削減できる労力や作業規模の拡大計画、例年の倒伏の程度などを考慮した導入検討が必要です。

「倒伏させない栽培」
●稲が倒伏していると自動運転は困難になるので、倒伏をさせない注意が必要です。

「整備と安全使用」
●清掃マニュアルに沿って、かならずエンジンを切った上で安全に行いましょう。
▼『~熟練者の知識・技能を活かした~コンバイン機内清掃マニュアル(参考事例)』(農研機構)

●特に品種が変わるタイミングには、コンタミ防止のため十分な清掃が必要です。
●使用前には基本点検を行います。エンジンのオイルと冷却水の点検、エンジンや作業機のベルト、チェーンおよび走行クローラの張り具合と劣化の点検、可動部の必要な箇所への注油を行ってください。
●トレーラーからの積み下ろし時やほ場の進入路などを中心に十分安全に配慮するとともに、使用時の詰まりなどの際にもかならずエンジンを切るなど、安全使用を心がけてください。

執筆者
飯田 訓久
京都大学大学院農学研究科教授