高速汎用施肥播種機を使用した大豆播種現地見学会を開催(福岡県福津市)
2022年07月14日
福岡県福津市では、個別大規模農家が地域の水田農業を担っている。農家の高齢化等に伴い、法人化した担い手への農地集積により、担い手の大豆作付面積が増加しており、播種等の適期作業が難しくなっている。大豆の播種適期は7月上中旬の梅雨期にあたるため、長雨やまとまった降雨による播種遅延や、播種後の降雨による出芽不良・湿害などにより、収量が低迷している状況である。
そこで、福岡県福岡農林事務所北筑前普及指導センターは、昨年度につづき、全国農業システム化研究会事業を活用し、①梅雨期の天候回復時における速やかな大豆播種作業の実施と出芽苗立ちの安定化、②適期播種、出芽苗立ちの向上及び狭畦栽培と茎葉処理除草剤を組み合わせた難防除雑草の効果的な防除による収量の向上をねらいとして、自動操舵トラクタと高速汎用播種機を用いた効率的播種体系を実証することとした。
(参考)
▼【福岡県】水田における土地利用型作物の生産効率向上に関する実証調査(令和3年度全国農業システム化研究会実証調査)
試験区の概要は以下の通り。
6月3日に麦わらすき込み、6月17日には非選択性除草剤の散布作業を実施した。
昨年度の実証では、播種後の降雨で土壌表面がクラスト化して出芽に影響が出たため、今年度は天候と圃場の状況を見極めながら、播種日を6月30日に決定。自動操舵トラクタと高速汎用施肥播種機による播種作業の見学会を開催した。見学会には、県内普及関係者、資機材メーカー、生産者等約25名が参加した。
自動操舵トラクタ(MR700)+高速汎用播種機(NTP-6)
左上 :福岡県農林水産部経営技術支援課の坪根正雄農業革新支援専門員による実証概要の説明
右下 :クボタアグリサービス(株)福岡事務所の古川尚氏による使用機械の説明
慣行区の播種作業(トラクタ+部分浅耕ロータリ+播種機) (クリックで動画再生)
自動操舵トラクタの走行には、基地局の設置が不要なVRS(※)による補正情報を使用。誤差2~3cmと精度が高い。
高速汎用播種機による狭畦播種作業は、播種速度が5km/hと、慣行の播種機に比べて5割程度に短縮された。播種量もほぼ計画どおり(7.7kg/10a)であった。
この後、防除作業および倒伏防止のための摘芯作業を経て、11月中旬には、ロボットコンバインによる収穫が予定されている。(みんなの農業広場事務局)
※ VRS:国土地理院が設置した電子基準点から求めた補正情報(位相差)を、通信回線(インターネット)から受信して測位を行う方式。仮想基準点方式で補正情報を求めているので、基準局の設置は不要。
(株式会社クボタ:「GPS(GNSS)ガイダンスシステムガイドブックVer.4」から)