提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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大豆・麦




大豆の帰化雑草対策に関する全国現地検討会(兵庫県加西市)

2012年08月27日

 晴れ渡る空に、夏本番を思わせる日差しが降り注ぐ兵庫県加西市で、7月31日、(社)全国農業改良普及支援協会と近畿産大豆生産、需要拡大協議会主催の「大豆の帰化雑草対策に関する全国現地検討会」が開催された。

 近畿地方を始め、全国各地の大豆畑では、帰化雑草などの新たな雑草が多発し、難防除雑草対策が大きな課題となっている。その深刻さを表わすように、西日本の普及関係機関、JA関係者、農業資機材メーカーや生産者はもとより、遠く東北や北陸からも参加者が集まり、280名を超す大規模な検討会となった。


<室内検討会>
 5名の講師による発表と総合検討が行われた。

●帰化雑草の生態と対策について(農研機構 中央農業総合研究センター 澁谷知子氏)
 帰化雑草の基本的な特徴と、さまざまな帰化雑草の生態と対策を、写真とともに紹介した。種子を増やさない防除法から、圃場周辺での防除法、圃場内での防除法を、段階ごとに詳しく報告した。有効な除草剤がない今は、「圃場に入れない、広げないことが重要」との説明があった。



農研機構 中央農業総合研究センター 澁谷 知子氏


●大豆の機械除草について(株式会社クボタ アグリソリューション推進部 有原丈二氏)
 機械を用いた有効な雑草の抑制方法を紹介。慣行区と実証区の写真では、耕うん方法の違いによる雑草抑制の効果が一目瞭然で、その有効性を示した。



株式会社クボタ アグリソリューション推進部 有原 丈二氏


●兵庫県内における帰化雑草の現状と対策について(兵庫県北播磨県民局加西農業改良普及センター 樽本清明氏)
 西高室営農組合の圃場の概要と、非選択性除草剤(バスタ液剤)による畦間処理の調査結果を報告した。バスタ液剤により、帰化雑草への除草効果が確認された。



兵庫県北播磨県民局加西農業改良普及センター 樽本 清明氏


●兵庫県内における帰化雑草の現状と対策について(兵庫県北播磨県民局光都農業改良普及センター 若林一兆氏)
 帰化雑草の中から、ホオズキの対策を紹介した。ホオズキは収穫時の汚粒の原因になるほか、圃場からの手取りは非常に困難であり、余分な賃金を発生させ、経営的にも負担になることから、機械作業の除草体系の確立が急務であるとの報告があった。



兵庫県北播磨県民局光都農業改良普及センター 若林 一兆氏


●兵庫県内における帰化雑草の現状と対策について(兵庫県立農林水産技術総合センター 牛尾昭浩氏)
 乗用管理機による畦間株間散布方法の現状と課題が報告された。また、中耕ディスクによる中耕培土の直前に、畦間株間処理で有効な除草剤(バスタ液剤)を散布することによる、①高い除草効果、②作業の効率化、③増収効果 を図るための雑草防除体系について、説明がなされた。



兵庫県立農林水産技術総合センター 牛尾 昭浩氏


 5名の講師の発表後、兵庫県立農林水産技術総合センターの九村俊幸氏を座長にむかえ、総合検討が行われた。
 帰化雑草に対する決定的な対処法がないため、日ごろ直面している問題について、熱心に質問し、講師の言葉に耳を傾けた。また、県外の参加者からも現状と対策方法についての報告があり、県を越えた情報交換が行われた。


  
 :総合討論 /  :大豆の帰化雑草対策に関する全国現地検討会会場


<現地検討会>
●大豆機械展示見学
 (株)クボタの担当者、メーカー各社の担当者から、以下の大豆機械の説明があった。
・耕うん同時畦立播種機(ツーウェイローター+播種機)
・除草機(レーキ式除草機)
・中耕ディスク+除草剤散布機
・大豆摘心機
・大豆収穫機(豆・麦・雑穀収穫用コンバイン)
・大豆防除機(ブームスプレーヤー)


 機械の実演と、利用方法や特徴などの説明に、参加者は真剣に耳を傾け、見学した。質疑応答も行われ、活発な展示見学となった。


  
 :たくさんの農機が集結 /  :機械展示見学のようす


●機械実演
 西高室営農組合の圃場で、多くの参加者が見守る中、中耕ディスク+除草剤畦間株間処理(除草剤:バスタ液剤)の機械実演が行われた。
 参加者からは「想像以上に早い」、「作業時間が短縮されていい」など、驚きと興味を示す言葉が飛びかった。炎天下にもかかわらず、作業後には機械の周りに集まり、熱心に見学する参加者も多く見られた。(みんなの農業広場事務局)


  
 :中耕ディスク+除草剤畦間株間処理の機械実演
 :作業後の状態を確認する参加者