つや姫の生育診断技術研修会を開催(山形県高畠町)
2023年07月19日
山形県置賜総合支庁産業経済部農業技術普及課では今年度、全国農業システム化研究会を活用し、大規模稲作経営体におけるスマート農業技術の導入効果の検証試験に取り組んでいる。品種は山形県オリジナルブランド米の「つや姫」。5月16日に、可変施肥田植機でほ場内の地力差メッシュマップを基に施肥量をきめこまかくコントロールしながら移植作業を行い、その後、稲は順調に生育している。
7月4日、置賜総合支庁産業経済部農業技術普及課主催で、作物のリモートセンシング(遠隔測定)を行うマルチスペクトルカメラを搭載したドローン(以下、センシング用ドローン)を用いた幼穂形成期の生育診断研修会が開催された。当日は県普及関係者、JA、全農、資機材メーカー等30名程度が見学に訪れた。
初めに置賜総合支庁産業経済部農業技術普及課の武田課長補佐(地域第一担当)から、本研修会の主旨説明があり、その後、株式会社クボタ 企画マーケティング課の千葉担当課長からセンシング用ドローンの説明があった。
センシング用ドローンは、あらかじめアプリに飛行計画を登録しておくことで、自動飛行が可能となる。また、水稲が反射する光を波長に分けて素早く正確に計測することができる。今回は、飛行高度96mの高さから数秒おきに撮影された画像をもとに、生育量の指標である正規化植生指数(NDVI)を素早く計算し、ただちにデータをKSAS(クボタスマートアグリシステム)クラウドに保存できる。農業者は10ha程度のほ場の生育状況を約30分で確認できるので、直後の追肥の参考にすることができる。
左 :山形県置賜総合支庁産業経済部農業技術普及課の武田課長補佐による本研修会の説明
右 :センシング用ドローンについて説明する株式会社クボタの千葉担当課長
センシングドローンの説明と実演。撮影範囲を事前に簡単に設定でき、自動で飛行し撮影を行う。
センシングの状況を見守る参加者(左)とドローン(右、赤丸内)
ほ場での撮影終了後、室内会場に移動して室内検討会を実施。株式会社クボタの千葉担当課長と及川技術顧問より、つい先ほど撮影したNDVI画像による診断結果や、得られたデータの活用方法などの説明がおこなわれた。センシングの結果、慣行区より実証区の方が生育量が多く、均一に生育していることが分かった。
株式会社クボタでは、2023年3月からKSASとセンシング用ドローンのデータ連携ができるようになり、KSASユーザーであれば、追加料金なしで、専用アプリを用いて簡単に生育量マップを活用することができる、との紹介もあった。
左 :30分ほど前に圃場で撮影したNDVIデータがすぐに確認できる
右 :センシング結果をもとにした生育診断について説明する(株)クボタの及川技術顧問
最後に、山形県が普及推進しているICTシステム「Agrilook(アグリルック)」の説明があった。
「Agrilook」は、衛星画像からほ場1枚ごとの生育診断ができる。また、2022年までは「つや姫」のみの対応であったが、2023年から「はえぬき」や「雪若丸」も対応しているとの情報提供があり、充実した研修会となった(みんなの農業広場事務局)。