スマート農業研修会の開催(徳島県阿南市)
2018年08月17日
阿南農業支援センターでは、今年度から、全国農業システム化研究会事業の一環として、KSASの実証調査に取り組み、対象法人の300筆にもおよぶ圃場の登録を行い、来年度から本格的な実証調査が始まることとなっている。
これに先立ち、7月17日、徳島県阿南農業支援センターで、スマート農業研修会が開催された。当日は県の普及関係職員、農業関係団体、資機材メーカー、農家など約60名が集まった。
初めに、室内で①営農支援システム「KSAS」についての説明と、②圃場水管理システム「WATARAS」についての説明があった。
①営農支援システム「KSAS」
KSASは株式会社クボタが提供する「クボタスマートアグリシステム(=Kubota Smart Agri System)」の略称で、パソコンやスマートフォンを利用し、圃場や作物、作業情報等を一括で管理することができる営農支援システムである。農業経営を「見える化」し、集められたデータを基に営農改善を行う。
②圃場水管理システム「WATARAS(ワタラス)」
WATARAS(ワタラス)は、(国研)農業・食品産業技術総合研究機構によって開発されたシステムで、「ワタラス(=Water for Agriculture, Remote Actuated System)」 の略である。これまでも水田センサーは開発されていたが、給排水作業は現地で行う必要があったため、大きな省力化にはつながらなかった。WATARAS(ワタラス)は、水田の水管理をスマートフォンやPCでモニタリングしながら、任意の水位に保つよう遠隔操作または自動で制御できるため、現地へ行く手間が省け、大きな省力化が期待できる。また、ソーラーパネル搭載による低コスト化や、既存バルブへの装着が可能である等、少ない負担で導入できるよう開発されている。
左 :KSASについて説明する株式会社クボタ 小林グループ長
右 :農研機構 農村工学研究部門 鈴木特別研究員によるWATARASの紹介があった
室内で説明を受けた後、実際にWATARASで管理をしている圃場に移動。モニタリングをしているスマートフォンを使い、給水指示のデモンストレーションを行った。
現地ほ場にて、WATARASを使用し水管理を行った。参加者も興味深く解説を聞いていた
初めてWATARASを見る参加者が多く、質問や意見など熱心な議論が交わされていた。
平成29年度までで全国9地点、約70筆の実証試験を行っているが、まだ課題も多く、さらなる改善が必要と考えられる。これまで省力が難しかった水管理作業が、大幅に労力削減される技術であるため、本格的な実用化に向けて実証に取り組んでいきたい。(みんなの農業広場事務局)