マルチコプターを活用した水稲病害虫防除作業の実施(岩手県雫石町)
2017年09月04日
8月10日、岩手県雫石町にて、全国農業システム化研究会事業における、マルチコプター(ドローン)による水稲の病害虫防除作業が行われた。
これまで空中散布での防除は、無線操縦ヘリコプター(ラジヘリ)が主流であったが、近年はより手軽に散布することができるマルチコプターに注目が集まっている。本事業においても、作業体系の中にマルチコプターを組み込み、効率性や安全性、作業精度等を調査することとした。
マルチコプターに興味を持つ生産者も多く、当日は、関係者や資機材メーカー等、合わせて約50名の参加があった。
使用したマルチコプターは、クボタ農業用マルチローター「MG-1K」。散布する液剤を最大で10L搭載することができ、今回は、いもち病対策としてブラシンゾル、カメムシ対策としてスタークルメイトを混用し、散布した。
左上 :クボタのマルチローター「MG-1K」は、折りたためるため、持ち運びが便利
右下 :総重量(バッテリー、薬重量を除く)は10kg程度で、1人での持ち運びも可能
マルチコプターでの散布に登録のある数少ない薬剤、ブラシンゾル(左上)とスタークルメイト(右下)
送信機のモニターには、飛行経路や高度、速度、散布量、バッテリー量等がリアルタイムで表示される
また、圃場内に4ヵ所、感水紙を設置し、農薬の付着程度も確認した。感水紙は地上部から30cmごとに取り付け、1ヵ所に付き、計9枚取り付けた(一番上以外は両面に設置)。
地上部から30cmごとに感水紙を設置。裏にも付けて付着程度を調べる
薬剤はすべての感水紙に付着していた。地上部に近くなるほど付着程度は減少するが、この付着程度で薬剤の効果があるのかを、調査していく必要がある
マルチコプターでの防除は、今年からの取り組みで、データの取りまとめ方は試行錯誤の段階である。本実証のデータをもとに、今後、メリット、デメリットを分析していく予定だ。(みんなの農業広場事務局)