直進キープ機能付き田植機による、密播苗の移植作業実演会を開催(岩手県雫石町)
2017年06月13日
5月15日、岩手県雫石町の全国農業システム化研究会実証調査圃場にて、直進キープ機能付き田植機(EP8D-GS)による、密播苗の移植作業実演会が開催された。
管内では、密播苗移植栽培を試行的に導入する生産者が増えてはいるものの、栽培技術は未確立であった。また、高齢化等による農業従事者の減少にともない、より省力的な栽培技術の普及、定着が必要とされている。そこで、直進キープ機能付き田植機を用いた密播苗移植による省力化・軽労化について調査を行うこととした。
直進キープ機能付き田植機は、業界初の直進時自動操舵をアシストする「直進キープ機能」を搭載。GPSを利用し、1行程目に手動運転で基準線を登録すると、次の行程からはボタン一つで基準線に対し、自動で平行走行することができる。直進キープ時も手動ハンドル操作を優先するため、進路上に障害物がある場合は、安全に避けることができる。さらに、畦への衝突や圃場外への逸脱に対しても、ブザーとともにエンジンが停止する「安心サポート機能」が働き、安全に田植え作業を行うことができる。
直進キープ機能付き田植機を見ようと、当日は、管内の普及指導員、県の普及関係機関、JA、近隣農家等、約50名が参加し、田植え作業を見守った。
左上 :時折り大粒の雨が降る中でも、約50名の参加者があり、関心の高さがうかがえる
右下 :密播栽培の説明をする、岩手県農林水産部中央農業改良普及センターの中西上席農業普及員
密播苗は、播種量が多く、苗が混み合うため、苗丈が伸びやすくなる傾向がある。そのため、通常苗よりも10日前後播種日を遅らせ、苗丈を10~13cmに仕上げるように心がける。
左上 :品種は県オリジナルの「銀河のしずく」。左が通常苗(播種量150g)、右が密播苗(同250g)
右下 :1行程目として畦沿いを基準線として登録し、その後は自動で田植えを行う
除草剤は、シンジェンタジャパン(株)のソルネット1キロ粒剤を使用。雨の中での作業であったが、こまきちゃんにより、しっかり散布された。
左上 :予備苗を前方に16枚(レール8枚、段積8枚)、移植苗を後方に16枚、計32枚搭載することができ、補給回数および補助者の省力化が図れる
右下 :殺虫殺菌剤として北興化学(株)のDr.オリゼフェルテラ箱粒剤を使用
密播苗移植栽培、直進キープ機能付き田植機は比較的新しい技術のため、課題やリスクも伴うが、試験を重ねて、課題解決を図るとともに、導入条件や、直播栽培との組み合わせによる評価を整理していきたい。(みんなの農業広場事務局)