ICTを活用した水稲等の生産管理システムの構築に関する実証調査 -直進キープ田植機を使用した移植作業の実演研修会を開催(秋田県大仙市)
2017年06月06日
基幹作物である水稲は、農業従事者の高齢化等により、認定農業者や農業法人への農地集積が進んでいる。管理するほ場の増加と分散が進むことで、きめ細かな管理が難しくなり、生産性の低下が懸念されているところである。
これらの課題に対応するため、秋田県仙北地域振興局農林部農業振興普及課では、全国農業システム化研究会事業により、昨年(平成28年)度につづき、ICT(KSAS)を活用した実証調査に取り組んでいる。
実証農家は昨年度と同じく(株)RICE BALLで、今年度の調査内容は以下の通り。
①KSAS対応施肥量電動調量ユニット付き田植機による施肥改善効果の検証
②食味・収量測定機能付きコンバイン(PFコンバイン)とKSAS対応乾燥機を活用し、タンパク質含有率と水分含有率の推定値に基づく区分乾燥・区分集荷を行い、経営コストの低減と収益性の向上を図る
③KSASを活用して生産コスト調査や栽培管理ごとの労働時間の把握を行い、経営改善手法を検討
5月24日(水)には、直進キープ機能を有したKSAS対応田植え機による実演研修会が開催され、県普及関係機関、JA、農機・資材メーカー、生産者等、約20名が出席した。
左上 :挨拶と説明をおこなう秋田県農林水産部水田総合利用課 農産・複合推進班の片野英樹革新支援専門員(左)と、仙北地域振興局の吉川進太郎技師(右)
右下 :県普及関係職員、JA、農機・資材メーカー、生産者等、約20名が出席
この日は2ほ場(各35a)で、栽植密度を坪当たり①50株、②70株に設定し、直進キープ田植機による移植作業をおこなった。ほ場①では減肥による食味改善の検証、ほ場②では栽植密度の変更による収量向上効果の検討を行うこととしている。
直進キープ機能付き8条植え田植機(ファームパイロット:EP8DGS)を使用
左上 :GPSのアンテナ
右下 :直進キープ機能により、運転中に後ろを振り返る余裕も。「直進については、特別意識はしなかったが、作業をしながら後ろを向いて確認できるところは良いと思う」
施肥量は、前年度にPFコンバインで取得したデータをもとにほ場ごとに決められており、KSAS対応のスマートフォンからデータが送信されると、排出量が自動で設定される(KSAS対応自動調量ユニット)。
殺虫殺菌剤(箱王子粒剤)については、あらかじめ床土混和による施用をおこない、移植時は「こまきちゃん」で一発処理除草剤「天空1キロ粒剤」を同時施用した。
多年生雑草に効き目のある「アルテア」、ノビエの効果持続力に優れる「フェントラザミド」、SU抵抗性雑草に強い「ベンゾビシクロン」の3成分を混合した一発処理除草剤「天空1キロ粒剤」を移植と同時に施用
播種は4月23日。その後の気温が高く、黄化気味の苗もあったが作業に支障はなかった
右下 :作業終了後のほ場。坪当たり50株(左)と70株(右)
浮き苗防止のため、やや深めの設定で作業を行ったが、植付け姿勢はおおむね良好。
今後は適宜生育調査が行われ、秋にはPFコンバインによる収穫が予定されている。(みんなの農業広場事務局)