水稲の大区画直播実証播種実演会の開催(山形県鶴岡市)
2016年05月27日
鶴岡田川地域の直播栽培面積は近年増加しており、平成27年は約870haで取り組まれている。その大部分は湛水直播で、うち鉄コーティング播種が7~8割を占めている。また、同地域では1筆が1ha程度の大区画圃場の整備が行われるようになり、今後このような圃場が増えていくと予想される。しかし、大区画圃場での鉄コーティング直播栽培の実例はほとんどなく、安定生産へ向けた技術確立と地域への普及が課題である。
そのような中、山形県庄内総合支庁産業経済部農業技術普及課では、1.5haの大区画圃場で、新品種「山形112号」を用いた、低コストで安定した直播栽培の実証調査に取り組んでいる。今回の実証調査は全国農業システム化研究会によるもので、今年で2年目となる。
左から上から 地下かんがい設備が整った実証圃、流量計、給水栓
5月7日、鶴岡市茨新田の実証圃で鉄コーティング播種実演会を開催した。当日は、あいにくの風雨となったが、山形県普及関係機関、JA関係者、資機材メーカー、報道関係者、生産者等、約60名が集まった。
作業速度を若干落としたこともあり、種子はきれいに点播された。また、農道を利用したターンにより、労働時間の短縮が図られた。
左上 :きれいに整備された圃場。鉄コーティング播種は田面の均平化が重要
右下 :実証調査の概要を説明する山形県庄内総合支庁産業経済部農業技術普及課の今野技師
左上 :8条植え鉄コーティング播種機(EP8D)に鉄まきくん、こまきちゃんを取り付けて作業を行う
右下 :農道ターンで労働時間を短縮
石原バイオサイエンス(株)のプレキープ1キロ粒剤は直播水稲で播種時同時散布が可能なため、省力化がはかられる
左上 :強風にも関わらず等間隔に点播されている
右下 :大区画の圃場も2時間程度で播種作業が終了
左上 :播種作業を見守る参加者
右下 :実証農家の佐藤直人氏。カメラ取材も入り、注目度の高さがうかがえる
昨年の実証調査では、苗立ち率や苗立数が目標より低く、また、出穂後の日照不足のため、屑米が多いなどの課題が見られた。今年度は水管理等の中間管理をていねいに行う等して課題解決を図る。大区画圃場での鉄コーティング直播栽培の模範となるよう期待したい。(みんなの農業広場事務局)