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稲作




水稲鉄コーティング直播栽培・流し込み追肥現地検討会を開催(茨城県龍ケ崎市)

2015年08月21日

 8月10日、茨城県龍ケ崎市で水稲鉄コーティング直播栽培と流し込み追肥技術の現地検討会が開催された。
 鉄コーティング直播栽培の圃場は、昨年度から全国農業システム化研究会による事業の一環として取り組んでいる。


▼4月30日の播種作業のようすはこちら
茨城県特認品種「あきだわら」による、鉄コーティング直播栽培の実証調査(茨城県龍ケ崎市)

 また、流し込み追肥技術は、規模拡大や担い手不足解消のための省力化として有効な技術であり、関心が高まっていることから、生産者や関係機関等とともに情報を共有し、導入促進に力を入れることとしている。
 当日は、茨城県農業関係機関、龍ケ崎市関係者、JA関係者、資機材メーカー、生産者など、約43名の参加者が集まり、意見交換を行った。


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多くの参加者が集まった


 まず、流し込み追肥の実演会が行われた。茨城県県南農林事務所稲敷地域農業改良普及センターの安田健一主任が作業の手順と肥料ムラを少なくするポイントを説明した。手順は以下の通りで、至ってシンプルである。


●手順
①追肥を行う1~2日前より入水または落水し、田面を「ヒタヒタ状態」にする。
(田面に水は残っていないが、作土には十分水が含まれている状態)
②肥料を種籾袋に入れ、水口に設置、入水。(水口が複数ある場合は、均一に等分する)
③肥料が完全に溶けた後、水深5cmを目標に入水を続ける。
④十分な水深が確保できたら、入水を止め、自然落水する。田面の水がなくなったら、通常の水管理を行う。

●肥料ムラを少なくするポイント
・レーザーレベラーや丁寧な代かきで圃場を均平にする。
・畦畔崩れ、穴が無いか確認する。
・十分な水流の確保。(30aあたり毎秒3L以上が望ましい)
・水に溶けやすい肥料を用い、吸収されるまで時間のかかる尿素を使用する。


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流し込み追肥の説明をする茨城県県南農林事務所稲敷地域農業改良普及センターの安田健一主任


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 :種籾袋に入れた肥料を水口に設置するだけ
 :尿素(白)と塩化カリ(赤)を施用


 流し込み追肥作業は本日が3回目となる。
 1回目の流し込み追肥の拡散状況の分析結果では、水口に設置した肥料は10分足らずで溶けてなくなり、その後2時間半ほどで圃場全体に拡散された。圃場の均平に注意を払っていたため、肥料ムラもなく、しっかりと拡散されていた。
 田面が乾きすぎてヒビが入っていたり、作土に十分な水が含まれていなかったりすると、水口付近に肥料が溜まってしまうため、倒伏の心配や、水尻側の生育不良が発生する。また、入水後、すぐに水が無くなってしまう圃場は、穴が開いている可能性もあり、肥料が外に漏れてしまうため、細かな注意が必要だ。


 つづいて、鉄コーティング直播栽培の圃場に場所を移し、現地検討会を開催、生育状況などの確認を行った。
 昨年この圃場は、鳥害や雑草被害に悩まされた。今年は苗立ちの段階で雑草が再び発生したものの、早々に茎葉処理除草剤(クリンチャーバスME液剤)の散布を行ったため、大きな被害につながらず、順調に生育が進んでいる。
 また、播種同時で散布した殺虫殺菌剤(スタウトダントツディアナ箱粒剤)の効果もまずまずで、イネミズゾウムシの被害はほとんど見られない。


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順調に生育している


 今後、ますます省力・低コスト化が必要となる中、鉄コーティング技術や流し込み追肥技術を組み合わせた作業体系の確立が期待される。(みんなの農業広場事務局)