WCS用稲鉄コーティング種子直播現地研修会を開催(島根県大田市)
2015年06月04日
米の在庫過多等による米価下落や米の直接支払交付金等の減額・廃止等、主食用米を巡る情勢が非常に厳しい中、全国農業システム化研究会の実証調査に取り組むこととなった島根県大田市においても、非主食用米(新規需要米)等への作付け転換が図られようとしている。
大田市内で作付されている非主食用米のうち、「飼料用米」と「WCS用稲」について、前者は平成27年産の作付面積が50haを越える勢いとなっており、JAの受入体制等の理由により、作付け制限を考慮しなければならない状況となっている。
一方、後者については、これまで取組みはないが、畜産が盛んな大田市においては、畜産経営のコスト削減に向けた自給飼料の増産、調達は喫緊の課題であり、畜産サイドからの地元産WCS用稲の供給要望は非常に高い。
そこで、耕畜連携を推進し、WCS用稲の生産拡大に向け、省力・低コストな生産技術である、直播(鉄コーティング)栽培技術について、長所・短所を明らかにすることとした。
5月15日、島根県大田市の調査圃場で高速点播播種機による直播現地研修会が開催された。島根県普及関係機関、大田市関係者、JA関係者、資機材メーカー、生産者、メディア等、約60名の参加者が集まり、播種作業を見学した。
左上 :現地研修会の主催者挨拶をする、島根県農業技術センター技術普及部 山本技術普及部長
右下 :多くの参加者が集まった
左上 :WCS用稲栽培実証の取組説明をする、島根県農業技術センター技術普及部 長妻課長
右下 :鉄コーティングされた種籾「たちすずか」
供試品種の「たちすずか」は、極長稈にもかかわらず穂長は極短であり、牛が消化しにくい籾の割合が低い。また、重心が低いため倒伏しづらい。さらに、デンプンが茎葉に貯蔵され、糖含量が高いため、乳酸発酵(サイレージ発酵)が進みやすく、高品質な稲発酵粗飼料の生産が可能である。
播種機は、(株)クボタの鉄コーティング用直播専用機「WP60D-TC」を使用、8粒/株、株間18cmに設定した。除草剤は、サンバード1キロ粒剤を「こまきちゃん」で播種同時散布した。入水と自然落水後、稲1葉期~ノビエ2.5葉期までにメガゼータ1キロ粒剤を散布する予定だ。
左上 :播種機の説明
右下 :三井化学アグロ株式会社のサンバード1キロ粒剤
左上 :種籾の準備を行う、島根県西部農林振興センター県央事務所大田支所 荒木専門農業普及員(左)
右下 :参加者が見守る中での播種作業
「鉄まきちゃん」で等間隔に、粒数もおおむね設定どおりに播種された
左上 :メディアも注目し、地域への普及が期待される
右下 :播種後の圃場風景
稲の刈取り時期は9月下旬の予定で、最終的には品質評価まで調査を行う。(みんなの農業広場事務局)