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信州伊那谷スマート農業実証コンソーシアム 第6回実証事業推進会議を開催

2020年02月13日

●実証課題名「中山間地農業を支える集落営農におけるスマート農業技術を駆使した先進的水田複合経営の実証」


 令和元年12月26日(木)、信州伊那谷スマート農業実証コンソーシアム」の第6回実証事業推進会議が長野県野菜花き試験場(塩尻市)で開催された。
 会議では長野県農業試験場の丸山秀樹場長の挨拶に続き、長野県農政部農業技術課の菅澤勉専門技術員の進行により、各担当から成果報告が行われた。

 検討項目は以下の通り。


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1.直進アシスト田植えを利用した効率的技術体系の確立
 直進アシスト田植え機では田植え精度が向上し、作業強度の軽減についても確認ができた。本年度から導入した高密度播種育苗は従来苗に比べ箱数が削減された。


2.マルチローター(農業用ドローン)による雑草・病害虫防除技術の確立
 雑草防除では、作業時間削減並びに除草効果が確認できた。
 病害虫防除については、8月期に実施したカメムシ防除の効果が確認できた。


3.畦畔草刈り機による畦畔管理の効率化実証
 ラジコン草刈り機の作業性については、慣行の自走式草刈り機に比べ作業速度、作業量、性能ともに効果が確認できた。


4.空撮画像による生育管理技術の確立(ドローンによるセンシング)
 既存のドローンにマルチスペクトルカメラを装着し、7月8日から9月20日の間に計6回、高度130mから空撮を行い、データ処理後、地区別に集計した。次年度、当データを活用してSPADマップを作成し、追肥管理に活かす。


5.食味収量情報支援コンバインと連動した乾燥システムの確立
 生育の異なる4圃場のデータを収集し、次年度の可変施肥試験に活用する。
 圃場間の収量・タンパク含有量差のデータを次年度計画に活かし、収量、品質改善効果を検証する。


6.自動運転トラクタの技術体系の確立
 自動運転トラクタ(無人機)、直進自動操舵支援トラクタ(自動機)を用いて、面積が異なる30a連坦圃場で水稲収穫後の耕起作業を実施した。
 自動機による枕地2工程、無人機による圃場内部の作業体系は慣行単体作業に比べ稼働効率がよく、また、オペレータ作業も短縮され、負担軽減になった。 


7.自動水管理技術の確立
 WATARAS導入11圃場については、遠隔地から水位情報を把握でき、設定水位の通りに入水調整されていること、また、設定水位と実水位との誤差も少なかったことが確認できた。慣行水管理との収量差もなかった。今後も水見労力、経費削減効果を検討する。


8.経営分析及びデータの活用
 水稲(コシヒカリと風さやか・移植栽培・慣行栽培区15ha、スマート農業実証区15ha)並びにネギ、ブロッコリーの経営データを総括し、水稲省力化で生じた余剰労働力をネギ・ブロッコリーの労働力にあて、作付面積を増やす提案が行われた。


 項目ごとに、農研機構中央農業研究センター企画部産学連携室の大下泰生専門員からコメントと、次年度の方針等の提案があった。
 最後に、次年度の計画について、上記項目ごとに実証日程等を協議した。


○コンソーシアムの構成機関
●代表機関 :長野県農業試験場
●生産者 :農事組合法人田原
●共同実証機関 :県農政部農業技術課、上伊那農業改良普及センター、株式会社クボタ、クボタアグリサービス株式会社、株式会社関東甲信クボタ、国立大学法人信州大学、(国研)農研機構中央農業研究センター北陸研究拠点、(一社)全国農業改良普及支援協会、伊那市、JA上伊那


※本実証課題は、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:中C04、課題名:中山間地農業を支える集落営農におけるスマート農業技術を駆使した先進的水田複合経営の実証、事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)」の支援により実施された。


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