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「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」における自動運転アシストコンバインおよび自動運転トラクタの同時作業実演会

2019年10月08日

 9月24日、「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の取り組みの一環として、株式会社白銀カルチャーの実証圃場において、作業実演会が開催された。
 今コンソーシアムは、新潟市が代表機関となり、生産者の株式会社白銀カルチャー、農研機構中央農業研究センター等の団体機関および株式会社クボタ等の資機材メーカーがプロジェクトチームとなり、国内最先端のスマート農業の実証に取り組んでいる。
 この日は、4月に無代かき水稲不耕起V溝直播した稲の収穫作業実演会を開催。会場には県の関係者、近隣農家、資機材メーカー等あわせて約50名が参加した。


▼直播作業の様子
大規模水田輪作(水稲・大豆)における園芸作物(枝豆)導入に向けたスマート農業一貫体系の実証プロジェクト始動(2019年5月13日掲載)


 はじめに、新潟市農林水産部ニューフードバレー特区課の田辺課長より開会あいさつ、つづいて、株式会社新潟クボタの吉田常務取締役より実演機械の概要説明が行われ、その後、実演へと移った。


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左 :新潟市農林水産部ニューフードバレー特区課の田辺匡史課長のあいさつと参加者
右 :実演機械の概要を説明する株式会社新潟クボタの吉田丈夫常務取締役


①自動運転アシストコンバイン(自脱型)と自動運転トラクタによる稲刈りと稲わらの秋すき込みの同時作業
 GPSやロボット技術を活用し、ワンオペレーターによる稲刈りと稲わらの秋すき込み作業を同時に行い、省力化を図る。これまで、汎用型の自動運転コンバインによる実証試験は行われていたが、農家が身近に感じられる機械での実証試験は、関東甲信越で初となる。

 今回は6条刈りの自動運転アシストコンバイン(DR6130)で収穫作業を行った。現在発売されている自脱型コンバインの中では最速の時速約7kmでの作業が可能で、省力化が期待できる。さらに、作業者が、コンバインに乗ったまま有人監視下での無人自動運転トラクタ(SL60A)へ指示を出すとトラクタが自動ですき込み作業を開始するため、労力の削減、省力化につながると考えられる。

 また、コンバインには食味・収量センサ付きメッシュマップ機能も搭載しているため、圃場内の地力の差も確認することができる。


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自脱型コンバインで収穫作業をしながら、無人トラクタが自動ですき込み作業を行っている。コンバインも自動運転アシスト機能付きのため、周囲確認をするだけで良く、作業者の負担軽減につながる
 ▼コンバイン作業 benri_movie1.jpg(クリックで動画を再生)

 ▼すき込み作業  benri_movie1.jpg(クリックで動画を再生)


②営農管理システム(KSAS)で収穫データ(食味・収量)調査
 5~20m間隔で、食味および収量のメッシュマップを作成し、次年度に向けた施肥設計や土づくりに生かすことができる。当日はメッシュマップをモニター画面に映し、参加者と圃場内のばらつきを確認した。


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コンバインで計測された食味および収量のメッシュマップをモニターに映して解説する、クボタアグリサービス株式会社 新潟サービス技術部の白倉秀浩部長


③ドローンの自動飛行による農薬散布デモ
 事前にDJI社製の空撮用ドローン(Phantom 4 RTK)を飛ばして測量。正確な地図を作成し、散布幅と速度、高度を決め、散布ルートを設定した。
 その後、設定したルートを散布用ドローン(DJI社製MG-1P RTK)が自動で飛行した(今回はデモということで水を散布)。
 新潟県は水稲の作付面積が広いことに加え、多くの品種が作付けされており、それぞれ防除の時期が異なる。ベストなタイミングで作業を行いたい農家にとって、短時間で広範囲の防除が可能なドローンは魅力的である。また、自動飛行であるため、慣れるまでに時間のかかる操作の負担も軽減することができる。


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Phantomの説明および散布ルートの設定


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自動航行のため、作業者の操作はほとんど不要である


 報道機関からの取材を受け、実演会は終了した。
 これらのスマート技術の利用が、どれだけの省力化・軽労化につながるかはまだ分からないが、作業者の負担軽減は確実である。実証プロジェクトの成果に引き続き注目していきたい。


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メディアのインタビューに答える株式会社白銀カルチャーの荒木康男代表取締役


※本実証課題は、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:大D10、課題名:大規模水田輪作(水稲・大豆)における園芸作物(枝豆)導入に向けたスマート農業一貫体系の実証 事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)」の支援により実施しております。