GAPJapan2017「日本のGAPの今が分かる」開催
2017年10月02日
GAPJapan2017が9月26日、東京大学弥生講堂(東京都文京区)で開かれた。GAPへの関心が高まっており、参加者は300名を上回る盛況ぶりだった。(一財)日本GAP協会が主催、認定NPO法人アジアGAP総合研究所が共催。
まず、日本GAP協会から、国際規格化をめざすASIAGAP改定(8月1日運用開始)、JGAP家畜・畜産物の完成と運用開始等の新たな取り組みが報告された。
基調講演では、中嶋康博東京大学教授が「フードチェーンとGAP・HACCP」と題して、モノ、品質、性能、基準等の標準化が認証とセットとなり、知財戦略とまで言えるような世界的スキームに発展した流れの中に農業や食品(の工程管理)も組み込まれている現状と、農業経営にとってのGAP導入の意義について、話した。
今年のGAP普及大賞は、JA鹿児島県経済連の「JAグループの連携による圧倒的なスケールでのGAP普及」が受賞した。大規模なGAP普及(68認証:延べ数402農場・68茶工場・2050ha)が評価された。これは鹿児島県内の茶の栽培面積(8520ha)のうち24%にあたる。
同JAの清水洋之氏は、モデル手順書や各種帳票を作成し、各茶工場(産地)にあったやり方にカスタマイズ(修正)して導入を進めた過程を紹介し、JA、県、経済連が連携・協力して対応する体制作り、継続性とともに、いかに生産者の意識を保持するかがポイントと話した。
トークセッションは、「生産者・団体とGAP」と「流通業者とGAP」の二部体制。前半の「生産者」では、GAPは当たり前との意識が浸透しつつあるものの、GAP取得上、自分に足りないものを把握しきれていない生産者が多いことや、コストがネック等の発言があった。
後半の「流通」では、登壇した小売・流通各社においては、GAPは当然の基準である一方、消費者の認知度はいまだ低いことが紹介された。消費者へのGAP認知について、「コストをかけて認知を進めるのは違うのではないか」「GAPは生産側が自発的に取り組むべきこと」「知ってもらうことよりもGAPは説明責任、情報公開として必要」等の発言があった。
GAP認証を巡って、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会とそれ以降への取り組みが危急の課題であることを実感するシンポジウムとなった。(みんなの農業広場事務局)