野菜と文化のフォーラム「第2回新たな機能性表示制度に関する講演会」開催される
2016年03月07日
~新たな機能性表示制度を野菜の消費拡大につなげられるか~
機能性表示制度が2015年4月から始まり、届出受理された食品は200を超えた。当初、機能性をうたった生鮮食品の登場が期待されたが、16年2月20日現在、生鮮食品で登録された食品は、「三ヶ日みかん」と「大豆イソフラボン子大豆もやし」の2品目にとどまる。
NPO法人野菜と文化のフォーラムが2月19日、「第2回新たな機能性表示制度に関する講演会」を都内で開催し、生産、流通、消費等さまざまな立場から関係者約80名が参加した。
講演1:野菜の機能性や食べ方等に関する新たな見地について
デザイナーフーズ(株)取締役市野真理子氏が、「健康を維持するための野菜の食べ方」について講演。抗酸化力、機能性等の比較的新しい野菜の持つ性質について解説し、小売りの現場での消費者の反応や消費者への効果的な情報の伝え方、たとえばフィトケミカルを色分けする、等の具体的な提案方法を紹介した。
講演2 :新たな機能性表示制度活用事例―大豆もやし
(株)サラダコスモ研究開発部の中田光彦氏が、大豆イソフラボンを含む自社製品「子大豆もやし」の機能性表示制度への登録をどのように温めたのか、また、登録(受理)までの準備や経過、苦労した点等を話した。2品目の「大豆スプラウト」も受理が済み、来る4月に登録の予定。
パネルディスカッション :
「機能性表示制度の活用と野菜の消費拡大」をテーマに、5名のパネリスト(※1)が発言した。
会場との意見交換では、「JAや生産者から機能性表示登録申請の要望はでている」「生鮮品の場合、栽培方法やタネ、季節等でデータが異なる可能性がある」「一般の青果物では再パッケージ(に伴う表示)やコスト等が問題で、小売店での販売のネックになっている」等の意見や、消費拡大のアイデアとして客が選べる「カット野菜のセットは有望」「機能性は単品でみるだけでなく、食全体でみる必要もないか」等も提案された。
※1 パネリストは以下の5名。農林水産省園芸流通課高対策室長 東野昭浩氏、デザイナーフーズ(株)取締役 市野真理子氏、(株)サラダコスモ研究開発部 中田光彦氏、イオンリテール(株)農産企画部統括マネジャー 千葉泰彦氏、東京青果(株)営業本部課長補佐 卜部昭子氏。
野菜の機能性表示に期待はあるものの、流通方法や市場での取り扱い等に課題がある。また、野菜の消費拡大については、地道なPRはもちろん、機能性を周知、宣伝しながら、消費拡大にもつながるような情報提供が望まれるように感じた。(みんなの農業広場事務局)