シンポジウムGAPJAPAN2013開催される
2013年07月31日
今年も日本GAP協会主催によるシンポジウム「GAPJAPAN2013」が開かれた。7月26日、300名を超える参加者が全国から東京大学弥生講堂に集まり、GAPの今について熱心に聞き入った。
今年のGAP普及大賞
GAP普及大賞は、一年間でもっともGAP普及に貢献した取り組み事例が対象。第3回となる今回は応募が14件となり、「GAPの裾野が広がってきた」(岩本明久委員長)。以下の3事例が表彰された。それぞれ、GAPの可能性を感じさせる発表だった。
●教育機関によるGAP普及
GAP普及に向けた教育プログラムの開発
<受賞者>宮崎大学農学部
●農業生産者によるGAP普及
GAP実践の深化と新規就農支援
<受賞者>かさい農産
●生産者連携によるGAP普及
産地形成におけるGAP利用のさきがけ
<受賞者>JA東予園芸とゼスプリゴールド部会
生産者とGAPと労働安全(トークセッション1)
鈴木祐子氏(日本農業新聞ニュースセンター部)から日本農業新聞の「ストップ!農作業事故「いのちを守れ」キャンペーンから見えてきたこと」が報告され、農作業事故が起きると家族は、地域はどうなってしまうか、なぜ農業だけ事故が減らないか等が話された。「労働安全あってのGAP。事故は誰にでも起こりうるのだから事故に遭わないためのコストは必要。徹底したリスク管理が求められる」
続いて、鈴木貴博氏((株)鈴生代表取締役社長)が外部委託先を活用しながら労働安全を経営に浸透させていること、田邊英雄氏((有)どんぐり代表取締役)からは、従業員にどのように作業手順を周知徹底して意識改革をおこしたか、具体的な手法等が紹介された。
流通・小売業とGAP(トークセッション2)
論点は、「日本のGAPの目的は」「日本でGAPの統一・標準化は可能か」の2点。
目的については、1)品質管理、2)マーケティング、3)モラルの問題の3つに加えて、4)農場管理である、と会場からの声が上がった。生産、流通等、立場によってGAPの目的のとらえ方は異なるようだ。
統一・標準化については、流通・小売り側から、「県GAPはわかりにくい。県外に売り込んでいくにはちょっと・・・(やはりJGAPが必要というニュアンス)」という声も聞かれた。また、「GAPは最低保証。GAPプラスアルファが必要」「クレームの少ない野菜がほしいけれど、もっとほしいのは、もう一回買いたいと言われる野菜」という発言があり、流通・小売りの世界では、GAP認証はあって当たり前になりつつあることを感じた。
JGAP基準開発の最新動向
協会の「IT・標準帳票」部会では、生産者が農薬使用履歴などの栽培情報を提出する書類のフォーマットが提出先によりまちまちで、作成に時間がかかり負担となっていることから、共通フォーマット(JGAPの基準をベースとした栽培情報をやり取りする共通の書式)を構築すべく、システム開発に着手しているとのこと。
さまざまな面からGAPを考える、有意義な機会となった。なお、シンポジウム連動企画として、翌27日には茨城県にてJGAP農場の視察と講演・意見交換が行われた(日本農業普及学会主催)。(みんなの農業広場事務局)