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第6回全国農産物直売所サミット 長野県安曇野市で開催

2010年10月20日

 10月14・15日の2日間にわたり、「第6回全国農産物直売所サミット 日本の活力は直売所から ~地域を支える直売活動~」が長野県安曇野市の安曇野スイス村を会場に開かれ、500人を超える参加者が全国から集まった。



 直売所はブームと言われており、直売所数や売上高等は、消費不況と言われる中で健闘している。今後の直売所の発展につなげるため、また今回は、直売活動の基本でもある「地域社会を支える」視点から、将来にわたって安定した経営を進める方策を考えることがテーマとされた。


●サミット(講演、パネルディスカッションと全体意見交換)

 セレモニー、講演(※1)に続いて始まったディスカッションはふたつ(以降、コーディネーターは、毛賀澤明宏 産直新聞編集長)。「長野のリーダーに聞く、直売活動の現状と新たな動き」では、長野県を代表する4つの直売所の代表(※2)が、続いて「全国のリーダーに聞く、直売活動の現状と新たな動き」では全国的に有名な3直売所の代表(※3)が、それぞれの経営と特色、課題を述べた。


  


 質疑応答では、「出荷の自由を認めている“あさつゆ”では、商品置き場の公平さをどのように確保しているのか」「直売所自体が高齢化に直面しているが、みなさんはどう対処している?」「アグリビジネスブームの中で生き残るには個性が必要では」「品揃えのひとつの方法として、直売所間物流の可能性は?」「経営者の立場にいる農家は、直売所業務にかかわることで自分の仕事をする時間があるのか」など、活発に意見が交わされた。


 課題が「事業の複合化」「運営形態」「消費者の求めているものへの対応」に絞られる中、全体意見交換が行われた。


 「直売所が複合化の道を歩み始めている。そんな中、市民の直売や地産地消への要求は高いが、それに対する生産者側がそれに応える域に達していないと感じる。マスコミの報道や取り上げ方は表層的で、今後の運営に影響がないか危惧している」(青木隆夫 全国直売所研究会事務局長)


 「中山間地の農業を守るために直売所は必要だ。生きがい作り、規格外農産物で付加価値の創造、女性の自立等をかなえてきたが、今後農業をどうしていくかが問題。直売所専業農家が成り立つよう、年金+100万円の収入をめざしている」(小林史麿 グリーンファーム産直市場代表)


 「日本の農業者の大多数である兼業・高齢農家が農業を続けるために直売所が必要。地域住民も農家と直売所を支持している。6次産業化が農政の課題となったが、直売所は複合化の先進事例。ただし、農家が中心となった6次産業化でなければ意味がない」(田中満 全国農産物直売ネットワーク副代表)


 後継者の問題をどう解決するか? という質問に対しては、「一定の売上があれば後継者がついてきている。きちんと運営して売上げを出すことが必要。また、地元住民の教育も必要だ」「研修視察の回数を増やすとか、補助金をつけて新しい野菜を作ってもらうなどの方法で若い人を優遇することがあっていい。そうして若い人を育てれば、続く人も入ってくるだろう」などのアドバイスがあった。


●懇親会

 長野県内の食材を使った料理が用意された。参加者は舌鼓を打ちながら味わい、遅くまで情報交換が熱く行われていた。


  


  


●直売所視察

 翌15日は3コースにわかれ、4~5カ所の直売所を視察。約200名が参加した。観光者が一段落する時期で集客が課題といいながらも、どの直売所も早い時間から買い物客でにぎわっており、昼前にはあちこちで欠品がみられ、生産者が商品を補充する場面を見かける盛況ぶりだった。
 来年の全国農産物直売サミットは、福島県で開かれる予定。(みんなの農業広場事務局)


  


  


  


※1 
「農産加工と直売所のあり方」小池手造り農産加工所(長野県喬木村)代表取締役 小池芳子氏

※2 
ほりがね物産センター組合(長野県安曇野市)代表理事組合長 長田廣氏
農産物直売加工センターあさつゆ(長野県上田市)組合長 伊藤良夫氏
アルプス市場(長野県松本市)社長 犬飼浩一氏
道の駅「雷電くるみの里」(長野県東御市)駅長 唐澤光章氏

※3
道の駅とよとみ(山梨県中央市)駅長 萩原一春氏
秋津野直売所「きてら」(和歌山県田辺市)取締役員 木村則夫氏
おおむら夢ファームシュシュ(長崎県大村市)代表取締役 山口成美氏