岩手大豆300A研修会が岩手県奥州市で開催される
2009年02月27日
日本の食料自給率(カロリーベース)は、ここ数年40%で推移している。中でも、我々の食生活に欠かすことのできない大豆の自給率は、わずか5%。食料自給率の向上には、水田転換畑での大豆の生産性向上が大きな課題となっている。農林水産省ではその打開策として、大豆収量300kg/10a以上、Aクラス品質の大豆を安定して生産することを目的にした、大規模なプロジェクト研究(大豆300A)を推進中である。
そこで(株)岩手クボタでは、2009年2月、大豆研究会を立ち上げた。県内4カ所(二戸、玉山、北上、奥州)に実証圃を設置し、一年を通して現地研修会等を行っていく。
その幕開けとして2月16日、「岩手大豆300A研修会」が開催された。会場には大豆生産農家(団体)180名をはじめ、指導機関関係者、関連メーカー等、約200名が集まった。
左 :たくさんの参加者でいっぱいになった会場 /右 :「岩手県の大豆栽培の現状」を説明する井村裕一・岩手県農林水産部農産園芸課主査
最初に、井村裕一・岩手県農林水産部農産園芸課主査が、「岩手県の大豆栽培の現状」を説明。岩手県の大豆の作付面積は4790ha(平成20年産)で、水田での作付が拡大しているが、単収は全国・東北と比べて低い。県では、小畦立て播種栽培の技術指導や、交付金等による経営支援により、単収向上に取り組んでいる。その中で10a当たり4俵(240kg)を超える単収を確保し、全国トップクラスの大豆生産を実現している県内の事例も紹介された。
次に、有原丈二・(株)クボタ機械営業本部技術顧問が、「岩手県の気象、土壌などからみた大豆の多収生産技術」について講義。湿潤な水田転換畑では、大豆の発芽が妨げられるうえ、岩手県では7〜8月に豪雨に見舞われることが多い。湿害を回避するためには、圃場に合わせた営農排水対策を講じること、土壌タイプによって耕うん・播種方法を選択することなどが重要であり、岩手県で有効とされる栽培技術などについて説明した。
左 :わが国の大豆研究の第一人者、有原丈二・(株)クボタ機械営業本部技術顧問 /右 :実証試験を踏まえた具体策を指導する及川一也・岩手県農業研究センタープロジェクト推進室長(水田農業)
講演の最後は、及川一也・岩手県農業研究センタープロジェクト推進室長(水田農業)の「大豆栽培の実際」。排水対策や作業機の導入の仕方、雑草管理、病害虫防除、家畜堆肥の施用や輪作の導入などによる地力増強、収穫作業の留意点など、具体的な対処法が示された。
プログラムを締めくくる質疑応答では、「畦立て栽培の播種位置はどのぐらいの深さにしたらいいのか」「培土機がない場合はどうしたらいいのか」といった質問に対し、講師陣が県内での事例を挙げながら具体的にアドバイス。会場をあとにする参加者からは「勉強になることが多かった」という声も聞かれ、それぞれが多収化・高品質化による収益アップを心に誓う有意義な機会となった。
左 :各メーカーの商品パンプレットが並び、先進機能を搭載した農業機械の情報も入手 /中・右 :質疑応答で講師陣にアドバイスを仰ぐ参加者
主催:(株)岩手クボタ、(株)クボタ
協賛:(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター、(社)全国農業改良普及支援協会
(橋本佑子 平成21年2月16日取材)
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