【クボタeプロジェクトレポート】深萱・菜の花・大楽校の挑戦~耕作放棄地にナタネを咲かせ、地域を元気にしよう!~(岐阜県坂祝町)
2008年10月22日
作付けされない農地をどうするか? 田、畑合わせて48haの岐阜県坂祝町深萱地区では、耕作放棄地が増えていく状況に、皆が頭を痛めていた。
平成19年4月、地区の数名が中心となって、「深萱ふるさと保全隊」が結成され(農地・水・環境保全向上対策)、雑草刈り、遊休農地にコスモスの種まきやパンジーなどの花植え、ため池の外来魚の駆除、子供たちの田植え体験等の活動を行ってきた。
遊休農地4カ所にコスモスとヒマワリを咲かせてみたが、花を楽しんだら終わってしまう。「次につながる活動で、地区全体を活気づけたい!」そして、耕作放棄地に菜の花を育て、地区内をナタネの花で埋め尽くすだけでなく、菜種油を作ろうという声があがった。
8月中旬に、関係者等26名(※1)が集まって再生計画を確認した。
深萱地区は、もともと粘土質土壌を利用して瓦生産が行われてきた土地で、排水性には恵まれない。また、田と畑が混在する中、対象地は地区内9カ所の1.6haにわたる。クズやセイタカアワダチソウが、作業機や人が隠れてしまうほど繁茂していたり、常に水がひかない状態だったりと、状況はまちまちだ。
写真 左:地区での話し合い / 右:雑草だらけでトラクタが見えない!
草刈は、9月8,9日の2日間、大型トラクタに作業機をつけて、全9カ所で行われた。排水が悪いところでは、パワクロ(※2)でさえぬかるみから抜け出せなくなりそうな、あわや! という場面もあったが無事終了し、17日には、排水溝立てと耕起を行った。
写真 左:からみつくクズを刈っていく / 右:トラクタ2台で草刈作業をする
写真 左:スライドモアで雑草刈り / 右:水がしみ出す湿田あと
写真 左:耕起作業 / 右:溝立てが終わり、すっかりきれいに
雨天のため延び延びになった雑草防除は10月18日に、ナタネ播種は20日にそれぞれ行われた。播種は、電動散粒機を使って、計15kgのナタネを播いた。
また、同地区内の手打ちそば専門店「そばの里深萱ふ~ど」の“夢とそばをたのしむ会”が行っているソバ栽培による耕作放棄地再生事業とも連携して、地区内にあるソバ栽培地の後作にも、ナタネを播く話が進んでいる。
深萱・菜の花・大楽校校長の丹羽哲(にわさとし)さんは、「皆さんの力をお借りして、あっという間に耕作放棄地をきれいにしていただいた。地区内あちこちでナタネの花が咲けば、地域の関心も高まるでしょう。2年目以降は菜種油作りに発展させたい。」来年、ナタネの黄色い花が咲く頃と収穫の時には、イベントを行う予定だ。
eプロジェクトを足掛かりに、放棄地再生のノウハウを地域に根付かせ、放棄地を菜の花で埋め尽くす。菜種油利用の次には、廃油等を集めてバイオ燃料を作り、小さくとも地域循環型の共同体にしていきたい。「耕作放棄地が、廃油燃料で作業するトラクタで蘇る・・・」そんな未来図が、大楽校メンバーの頭の中には描かれているようだ。(みんなの農業広場事務局)
(※1)eプロジェクト実施団体・「深萱・菜の花・大楽校」役員、坂祝町、岐阜県農政部、可茂農林事務所、中濃地域農業改良普及センター、(株)岐阜クボタ、(株)クボタ
(※2)「パワクロ」:前輪がホイール、後ろがクローラタイプのトラクタ。条件の悪い圃場でも操作性を発揮する。
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