【クボタeプロジェクトレポート】耕作放棄地の再生「そばの里 喜多方」のブランド確立へ(福島県喜多方市)
2008年10月02日
「こんなに綺麗になるとは思わなかった。これだけの放棄地に手をいれるのは、金銭的にも難しい。本当に作業してもらえるのか心配だったが、想像していた以上の出来で、地域の皆が喜んでいると思う。福島県の転作率はワースト上位だが、これを参考に耕作放棄地が再生され、転作の弾みになればよいと考えている」(「喜多方刈取センター」 佐藤 仁代表)
耕作放棄地再生支援対象に選ばれた、福島県の「喜多方刈取センター」。これまでは地域の刈取作業のみを請負っていたが、「刈取り作業だけでなく、タネをまくところから収穫まで、一貫して耕作をおこないたい」との考えから、また、農地を手に入れるのは難しい状況であることから、耕作放棄地の再生・活用を思い立った。
対象地は、喜多方市上三宮町の河川が埋め立てられた圃場。20年以上放置されていたため、樹木などが生い茂り、まるで林のようだったという。
9月3日(水)・4日(木)には、第1回目の作業がおこなわれ、株式会社クボタからは草刈機、地元「喜多方刈取センター」から建機などが持ち込まれ、大がかりな作業となった。
灌木や背の高い草が除去され、きれいになった圃場を見た近隣住民は、「景色が一変しました」とびっくりした様子だった。周辺道路の見通しがよくなり、車の運転も安心してできるようになったという。
写真 左:サイドカッターで草刈り / 右:第1回目の除草作業終了。ここまで綺麗に
9月18日(木)19日(金)に行われた第2回目の作業は耕起作業と、その前処理として、土中にはびこる「葛」の根の除去作業で、トラクタ3台を投入。
サブソイラで葛の根をカットし、それを手作業で取り除く。そしてプラウで土を起こしていく・・という地道な作業を、炎天下に繰り返す。農業普及所や市の職員と地元の人たちが、作業を見守った。
写真 左:第2回目の作業開始前 葛の根がはびこる / 右:サブソイラで太い土中の葛の根をカット
喜多方農業普及所地域農業推進課の穴澤崇主査は、「遊休農地でも、3、4年放置された圃場と20年以上放置されたところでは、圃場条件は大きく異なる。数年ならば普通の機械で何とか対応出来るが、20年にもなると、大がかりな機械が必要になる。今回のことで、具体的にどんな機械が必要か、また、どういった作業工程を組めばよいかなどが分かったので、今後は農家の方からの相談にも応じられると思う」と述べた。
写真 左:掘り起こされた葛の根を手で取り除く / 右:膨大な量の葛の根
また、この地域を担当する、(株)福島クボタ渡辺敏夫次長は、「遊休農地は、福島県でも大きな問題になっている。今回作業を行った場所は、面積的には小さいが、県や国までを動かせるようなきっかけづくりとして貢献できればと考えている。農家が元気になれば我々も元気になれる。その手伝いになればうれしい。いろいろ不安はあったが、始めてみたら非常に大きな反響があり、好意的な意見ばかりで、よかったと思っている」と語った。
今年の秋には、雑草防除と緑肥を兼ねて麦を播くことになっており、そばは来年以降に播種の予定。
「喜多方ラーメン」とともに「喜多方そば」が名物になる日が楽しみだ。(みんなの農業広場事務局)
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