熱線遮断でハウスの高温化対策(熊本県八代市)
2008年09月25日
9月12日、熊本県八代市において、「ハウスにおける耐暑栽培技術および作業環境の好適化技術」をテーマに「平成20年度UR対策現地検討会」が開催され、都道府県やJAの関係者など約120名が参加した。
この検討会は、(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターが主催し、近年の地球温暖化の進行による施設栽培への影響に対応するために開発された技術等について、関係機関等に紹介する目的で開催された。
(1)熱線遮蔽資材を使ったトマト促成栽培ハウスの見学
熊本県のトマト栽培では、近年の気温の高温化による影響で、奇形果の発生、品質の低下、収量減などが発生している。また、黄化葉巻病対策のために防虫ネット展張を余儀なくされ、これもハウス内気温の上昇要因となり、温度の抑制が喫緊の課題となっている。
このような中、熱線遮蔽資材(メガクール)等により昇温対策をしている、八代市内の農家を訪問し、対策技術についての説明を受けた。
育苗ハウスでは、コナジラミ対策のために目合いの細かい防虫ネットを展張しており、ハウス内の気温は上昇しがちであるが、ここでは、ネットタイプのメガクールをフィルムの上から被せ、さらに換気扇2台と扇風機4台を駆使することで、快適な環境を作っている。
本圃ハウスでは、定植前から黄色粘着版(ホリバー)によるコナジラミ対策をしている。この定植前の対策、育苗期の徹底防除、定植時の粒剤処理により、黄化葉巻病の発生を最小限に抑えることができている。
(2)技術検討会
八代ロイヤルホテル会議室において、以下の講演と総合討議を行った。
1)ハウスにおける耐暑栽培技術および作業環境の好適化技術
(野菜茶業研究所 高収益野菜研究チーム長 高市益行氏)
高温対策のための施設構造と被覆資材、パッドアンドfanや細霧冷房による冷房技術について、技術内容や効果に関する紹介があった。
2)熊本県の施設園芸における温暖化の影響と対策
(熊本県農業研究センター 農産園芸研究所 野菜研究室長 小野誠氏)
熊本県内の温暖化の現状と、トマト、イチゴに対する影響と対策についての紹介があった。
3)夏場におけるトマト栽培技術
(トマト促成栽培生産者 高濱泰氏)
熱線遮蔽資材の導入について、かん水量が減り省力化にもつながること、遮光率は天候を見ながら臨機応変に変えることなど、実践的な利用法や効果についての紹介があった。
4)熱線遮蔽農POフィルムの研究開発
(MKVプラテック㈱ 技術顧問 宍戸良洋氏)
熱線遮断フィルム「メガクール」は、作物の生育に必要な光は透過しやすく、温度上昇の原因となる熱線は透過しにくい特徴を持つ。このような特徴と温度や生育への効果等について、具体的なデータに基づいた紹介があった。
総合討議では、参加者からの質問をもとに議論をすることで、より検討を深めることができた。(みんなの農業広場事務局)