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食材の寺小屋 「知って安心、野菜の残留農薬」

2007年09月19日

NPO法人良い食材を伝える会の「食材の寺小屋」の講座が、東京農業大学「食と農」の博物館で9月11日、開かれた。


 9月は「安心・安全を学ぶ月」で、今回のテーマは、「知って安心、野菜の残留農薬」。


 第1部は、会の代表幹事であり寺小屋塾長の中村靖彦さんが、ご自身が発足から3年間委員を務めた、国の食品安全委員会でのエピソードなどをまじえ、農薬のポジティブリスト制度の概略や問題点等を話した。


寺小屋塾長の中村靖彦さん  中村靖彦さんと永瀬博さん


 第2部では、JAいるま野野菜一元連絡協議会会長の永瀬博さんから、生産現場の現状をうかがった。

 永瀬さんは、埼玉県富士見市で露地野菜1.8haと水田30aを作る専業農家。ホウレンソウとカブを中心に栽培し市場出荷、夏場はトマト、枝豆、とうもろこし等を軒先で販売するほか、今では珍しい自根キュウリを栽培している。

 「ポジリスト制導入後、生産履歴の記帳をおこなっている。手間はかかるが、野菜と一緒に“安心安全”を提供することで、消費者に理解してもらえると考えている」


 とはいえ、栽培期間の長い野菜や時期には、出荷日をにらんで使える農薬の組み合わせや回数等に頭を悩ますそうだ。タンク洗浄の徹底や散布時のドリフト、また都市近郊ゆえに周辺環境への配慮も必要になる。

 「40年農業をしてきたが、身体だけでなく記帳等、頭も必要とされる農業に変わってきたことを実感している。これからは現状を守るだけでなく攻めの農業をやってみたい」「農家は一生懸命、安心安全を考えて、消費者に好まれる農産物を作ろうとしている。消費者の方には、農業現場や農業者の立場を理解していただけるとうれしい」と語ってくれた。


根岸 寛光 東京農業大学准教授

 最後に、根岸寛光東京農業大学准教授が、農薬や農薬行政の変遷、ポジリスト制等についてわかりやすく講演し、「今の農業者はありとあらゆる情報を集め、駆使する能力が必要とされている」と結んだ。


 消費者には敬遠されがちな農薬だが、農薬を使わない結果、ほとんど商品価値がなくなった農産物の写真や、農薬の残留基準量がいかに安全性を考慮して設定されているか等、説得力のある話に、参加者は聞き入っていた。(みんなの農業広場事務局)


NPO法人「良い食材を伝える会」 
東京農業大学「食と農」の博物館 イベント情報  

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