(国際農研)鉄過剰ストレスにより発生するイネの葉の可視障害の軽減にマグネシウムの施肥が有効であることを発見
2023年08月04日
鉄過剰障害は湛水条件で栽培されるイネに特有の生理障害で、東南アジアやアフリカの幅広い地域で発生しており、生育の遅延やブロンジングと呼ばれる葉の褐変症状などを引き起こすことにより、多くの地域でイネの収量を15%以上減少させることが報告されている。
国際農研は、マダガスカル・アンタナナリボ大学およびイギリス・クランフィールド大学と共同で調査を行った結果、マグネシウムの施肥が、圃場の植物において過剰な鉄の吸収を抑える"排除型"の耐性メカニズムおよび、組織内の過剰な鉄への耐性を向上させる"組織耐性型"の耐性メカニズムの両方を付与することにより、ブロンジングを軽減させることを明らかにした。
以上のように、鉄過剰ストレス耐性により誘導される可視障害の軽減にはマグネシウムの施肥が有効であること、マグネシウムが排除型および組織耐性型の耐性の両方を付与すること、また、マグネシウム施肥が葉の遺伝子発現の変化を介して可視障害を軽減することが示唆された。この研究は、鉄過剰ストレス応答の分子的メカニズムの解明への糸口となるほか、鉄過剰ストレス耐性を向上させた植物の作出に有益となることが期待される。
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