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原産:日野菜-関係機関一丸となった販路開拓と、漬物以外の調理方法で伝統野菜の産地復興

2023年01月31日

特徴と由来

●滋賀県日野町

 日野菜の特徴は、細長い形と色(地上部が赤、地下部は白)。特に、日野町の「原産:日野菜」(以下、日野菜)は独特の辛みが強い。露地栽培が中心で、播種から45~60日で収穫でき、春播きと秋播きの作型がある。
 日野町鎌掛(かいがけ)集落の山中で約550年前に発見され、「さくら漬(日野菜の甘酢漬け)」として近江商人が全国に広めたとされる。その命名は、時の後柏原天皇が、献上御礼の和歌にこの漬物を「さくら漬」と記したことに由来する。

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「原産:日野菜」と新規格「ミニ日野菜」

利用方法(食べ方)

 代表的なさくら漬は、根の部分を3cm長の短冊切りにし、塩3%で30分漬けた後、水切りして甘酢に漬けることで桜色に染まる。とりわけ日野菜は地上部の赤色が濃く、色素添加なしできれいに発色するのが特徴だ。
 当センター(滋賀県東近江農業普及指導センター)のマッチングにより、びわ湖大津プリンスホテルのレストランで使用する食材として採用され、漬物用より小さな新規格を「ミニ日野菜」として提供した。紅白の色合いを活かして祝宴の添え野菜に利用されるなど、漬物以外の新しい調理法やメニューが開発された。
 これらのメニューは、ほかのホテルや地元料理店に拡大。また、天ぷらは親しみやすさから、地元の一般家庭にも広がった。

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日野菜のさくら漬

産地の動向

 昭和15年当時は、鎌掛集落から京都市場に漬物用として出荷されていた。だが、種苗会社の選抜種やF1種が普及したことで、形状が悪い日野菜は市場から姿を消し、平成13年には13戸、2haまで栽培面積が縮小した。
 当センターでは、平成19年より日野町商工会、日野町役場、JAグリーン近江と連携し「日野菜プロジェクト」に取り組んだ。高名な料理評論家の紹介で、関係者が有名店の総料理長を訪問・交渉した結果、日野菜の東京進出も果たした。
 平成31年「JA日野菜加工施設」(総工費2億6000万円)が整備され、衛生管理が整ったことで地元大手スーパーへのさくら漬等の出荷も始まった。令和2年度には栽培面積7・4ha、農家数60戸に拡大し、令和3年、京都市場への出荷も復活した。

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左から 祝宴の添え野菜、日本料理の日野菜づくし

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左から 日野菜のポタージュ、日野菜の天ぷら

なお、2022年10月21日に「近江日野産日野菜」がGI登録されました。

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▼活動の詳細等は「日野菜のホームページ」で公開中。

執筆者
松井賢一
滋賀県東近江農業普及指導センター 主幹

●月刊「技術と普及」令和3年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載