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聖護院かぶ-霧と底冷えが育む、京の色白美肌カブ

2023年01月30日

特徴と由来

●京都府亀岡市

 冬の京漬物の代表格といえば、カブを昆布と漬けた千枚漬。その原料として使われているのが聖護院(しょうごいん)かぶだ。
 日本最大級(根径15~20cm、重量1・2~2・0kg)のカブで、現在の京都市左京区聖護院地区で栽培されていたことがその名前の由来となっている。
 江戸時代の享保年間(1716~1736)に、近江国の堅田(かたた)地方(現・大津市堅田)にあった近江かぶの種子を伊勢屋利八という篤農家が持ち帰り、栽培したのが始まりと伝えられている。その後、京都の風土に合わせて改良を重ね、今のような偏円形のカブができ上がったとされる。
 天保年間(1830~1843)にはこのカブを使った千枚漬が売り出され、それが人気を呼んで栽培が盛んになった。江戸時代から脈々と伝えられてきた歴史から、「京の伝統野菜」に位置づけられている。
 秋から流通が始まるが、底冷えする冬に甘味や香りが増し、最も味わい深くなる。

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聖護院かぶ(提供:(公社)京のふるさと産品協会)

産地の動向

 亀岡盆地の中にある篠(しの)地区は、盆地特有の昼夜の気温差や濃い朝霧が聖護院かぶづくりに最適な地域である。長年、京都市内に千枚漬の原材料として聖護院かぶを供給し続ける、歴史のある産地だ。特に聖護院かぶに関しては、霧の作用が甘さやみずみずしさ、緻密な肉質を作り出している。
 その歴史と姿の美しさから、平成19年度「京のブランド産品」に認証され、京都市内の学校給食にも使用されている。

栽培方法

 聖護院かぶの栽培は、例年8月末から10月初旬に播種し、2回の間引き作業、追肥を経て、11月上旬から翌年2月にかけて収穫する。聖護院かぶは連作障害や害虫の影響を受けやすいデリケートな野菜のため、常に早めの対処が必要である。
 京のブランド産品の指定を受けた篠の聖護院かぶは、「京都こだわり栽培指針」の下、堆肥の施用量や化学肥料由来の窒素成分量、化学合成農薬の成分使用回数などが細かく定められている。これらを遵守して栽培された聖護院かぶのうち、「秀」品の「3L」「2L」「L」規格のみが、京のブランド産品のシールを貼って出荷される。
 今後も京都こだわり栽培指針に基づく生産技術を活用しながら、同地区の土質、気候風土の恩恵を受けて育つ、安心・安全な聖護院かぶづくりを支援していきたい。

食べ方

 厚めに皮をむいた聖護院かぶを薄く切ったのち、塩漬けにして水気を切り、昆布と調味料で漬ける千枚漬として古くから賞味されている。ほかにも、すりおろして卵白と合わせ、甘鯛や百合根等を入れて蒸し、銀あんをかけたかぶら蒸しとしても食される。近年では細切りにし、好みのドレッシングであえる聖護院かぶのサラダ等、新しい食べ方も工夫されている。

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かぶら蒸し(提供:(公社)京のふるさと産品協会)

執筆者
髙妻郁宜
京都府南丹農業改良普及センター 技師

●月刊「技術と普及」令和3年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載