果肉がピンク色で食味の良いリンゴ新品種「リンゴ長果34(キルトピンク)」
2021年09月21日
開発した背景
見た目の新しさや、果肉の着色をいかした調理用、加工用などの消費拡大の観点から、果肉が着色するリンゴ新品種が注目されています。長野県果樹試験場では、果肉が部分的にピンク色に着色し、そのまま食べてもおいしい「リンゴ長果34(キルトピンク)」を開発しました。現在(2021年9月)、本品種は品種登録申請中であり、栽培地は当面の間は長野県内に限られます。
開発の経過
1989年に調理、加工業務用として利用できる赤果肉リンゴの開発を目的として、加工適性の優れる「紅玉」を種子親として「ピンクパール」(アメリカ原産で果肉がピンク色に着色する品種)の花粉を交配し、「赤果肉リンゴ系統A」を選抜しました。さらに、果実品質と収量性などの改良のため、2000年に「シナノスイート」に「赤果肉リンゴ系統A」の花粉を交配し、その中から「キルトピンク」を育成しました(図1)。
果実の特徴
長野県での収穫期は11月上旬から中旬になります。果皮は濃い紅色で、果心を除く果肉が部分的にピンク色に着色します。果実の大きさは300~400g、糖度15%、酸度0.8%で、酸度は高いものの濃厚な食味に感じられます。また、果汁が多く、サクサクした歯触りで肉質がしっかりしているのが特徴です。冷蔵(3℃程度)条件で少なくとも2か月程度の貯蔵性があります。
表1「キルトピンク」の果実品質(平成29~令和元年の平均値)
栽培特性
育成地(長野県須坂市)における発芽期と開花期は、「ふじ」とほぼ同時期で、S遺伝子型はS1S3で、「シナノリップ」、「シナノゴールド」とは受粉できません。成熟に要する日数は満開後190~200日程で、収穫期は11月上旬から中旬になります。果皮の着色は容易で、収穫前落果はありません。
栽培上の課題
赤果肉リンゴ品種の中でも、本品種の果肉の着色程度は比較的安定していますが、栽培年次や地域により変動することも認められています。標高の高い産地で果肉着色は安定する傾向が認められます。
今後の展開
果肉が赤色やピンク色に着色するリンゴは、果肉にアントシアニンを含み、混濁果汁などに加工した場合も、鮮やかな赤色になります。糖度と酸度が高く、生食も可能でありながら、果肉の色彩を利用した調理、加工用としての消費も期待しています。
本品種の詳しい情報は、長野県農業関係試験場の研究情報をご覧ください。
▼令和元年度 普及に移す農業技術(第2回)「赤果肉りんご品種「リンゴ長果 34」の育成」
執筆者
長野県果樹試験場 育種部
金丸京平