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加賀太きゅうり-生でもいいけど煮物がおいしい、大きなキュウリ

2021年06月14日

特徴と由来

●石川県金沢市打木地区

 加賀太きゅうりは、15品目ある「加賀野菜」のうちの一つである。長さはおよそ24cm、直径6cm、重さが600gと一般的なキュウリの4~5倍もある俵型のキュウリである。果皮は濃緑色で硬く、果肉は厚く柔らかい。そのため、通常は皮をむいて煮物などで食べることが多い。
 昭和11年頃に金沢市の篤農家・米林利雄氏が、福島県の農家から種子を譲り受けて栽培したのが起源とされる。導入当時のものは現在よりも黄色く、形もずんぐりとしており、煮物などで家庭消費されていた。このキュウリが、当時地元で栽培されていた節成り品種と自然交配し、色が緑色に、形も変化して現在の加賀太きゅうりとなった。

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加賀太きゅうりの栽培風景

産地の動向

 現在の主産地である金沢市打木地区は日本海に面した海岸砂丘地帯に位置しており、古くからスイカ、ダイコン、施設園芸(トマト、キュウリ)を中心とした園芸が盛んな地区である。加賀太きゅうりは昭和45年頃に打木地区の温室に導入され、それまでは市内他地区で夏に露地栽培されていたのが、4月から11月まで出荷期間が拡大された。
 平成17年に大手ビール会社のCMに起用されて知名度が高まり、平成19年に「加賀太きゅうり」として地域団体商標を登録し、ブランド化を進めている。
 現在は13名の生産者がガラス温室やパイプハウスで栽培を行っている。知名度が高まったとはいえ、食べたことがない人も多く、JA金沢市太きゅうり部会では試食宣伝に力を入れ、多くの人に加賀太きゅうりの味を広める活動を行っている。

食べ方

 この地域では加賀太きゅうりを「あんかけ」にして食べることが多い。皮をむいて種を除去し、だしで煮てあんかけにする。ひき肉や蟹身とともに煮ることが多く、普通は温かいまま食べるが、冷製にすると夏でも箸が進む。あんかけは電子レンジで作ることもできるため、忙しい現代人にも重宝されている。

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左 :地元で定番の「あんかけ」
右 :最近は「浅漬け」も人気


 生で食べてもシャキシャキとした歯触りで甘みもあり、最近では若い世代を中心にサラダや浅漬けなどで手軽に食べることも増えてきた。加賀太きゅうりは伝統野菜とはいえ、時代に合わせて食べ方が日々進化を続ける、今後も楽しみな食材である。

執筆者
加茂川えり
石川県県央農林総合事務所農業振興部 農業指導専門員 

●月刊「技術と普及」令和元年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載