提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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キキョウ(キキョウ科)

2018年09月26日

  • (植物学名)Platycodon grandiflorum A.DC.
  • (生薬名)キキョウ(桔梗根)
  • (利用部位)根

分布、主な産地

 山野の草地に生える多年生の直立草本。
 北海道~九州・奄美、朝鮮、中国、ウスリーに分布します。近年、野生種は減少し、環境省のレッドデータブックの絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。
 花は青紫色で、淡紫色や白色のものもあります。花が桃色、絞り咲き、二重咲き、八重咲きなど多くの鑑賞用園芸品種があります。
 現在、生薬キキョウの国内生産はなく、全国各地で試験栽培が行われています。生薬キキョウの市場品の主体が、根のコルク層が除去された皮去りキキョウ(「さらしキキョウ」と称する)であるため、市場品生薬の性状に即し、品質規格に適合した生薬の生産が検討されています。
 2014年度における医薬品としての国内使用量は226.4tで、全量中国からの輸入に依存しています。中国の産地は吉林、黒竜江、安徽、湖北、四川、貴州、陝西などの各省です。

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キキョウの花

効用、用途等

 生薬キキョウはわずかににおいがあり、初め味はありませんが、後にえぐくて苦くなります。
 第17改正日本薬局方では、灰分4.0%以下、希エタノールエキス含量25.0%以上と規定されています。
 去痰、鎮咳薬として、桔梗湯(ききょうとう)、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)などの漢方処方に配合されます。
 朝鮮半島では、キキョウの根が食用として利用されており、えぐみの少ない白花種が用いられていると言います。

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提供 :薬用植物総合情報データベース

執筆者
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 研究員 飯田 修

●月刊「技術と普及」平成29年9月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載