三宝甘長とうがらし -いなば地方で栽培される辛みのない大型トウガラシ
2016年10月18日
特徴と由来
●鳥取県いなば地方(鳥取市、八頭郡)
「三宝(さんぽう)甘長トウガラシ」は、長さ17~20cm、重さ35~40gになる大型のトウガラシです。果肉が肉厚で柔らかく、甘く、苦みがないためピーマンの苦手な子どもでも食べられます。
また、他の品種で発生する辛み果の発生もないため、料理でも広く活用されています。
由来は、昭和の初期に東南アジアから持ち帰られたものを、鳥取市吉岡村の篤農家が選抜育種したものを「三宝大甘長蕃椒」(さんぽうおおあまながばんしょう)と名付け、栽培が広まったと言われています。
鳥取県東部のいなば地方(鳥取市、八頭郡)のみで栽培されている地方在来品種です。
大型の「三宝甘長トウガラシ」(PRチラシより)
利用方法
一般的な食べ方は焼きトウガラシです。丸ごと焼いて、しょうゆをつけて食べます。果肉が肉厚で甘く、柔らかいため、食べ飽きることがありません。
注意点は、焼きすぎないことです。肉質が柔らかいため、焼きすぎると柔らかくなりすぎ、独特の歯応えがなくなってしまいます。
このほか、天ぷら、煮物、佃煮等の調理方法があります。ビールのつまみとしても絶品です。
甘長トウガラシはシシトウやピーマンの仲間で、ビタミンAはカボチャ並み、ビタミンCはレモンの約2倍あり、コレステロールを排出させる食物繊維と葉緑素も豊富に含まれ、栄養価が高く夏バテ防止に最適です。
左 :てんぷらなどのさまざまな調理方法(PRチラシより)
右 :一般的な食べ方は"素焼き"
山下泰之
鳥取県東部農林事務所鳥取農業改良普及所 普及主幹
●月刊「技術と普及」平成27年10月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載