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山古志かぐらなんばん -ほのかな甘み、爽やかな辛み、上品なおいしさ

2016年10月12日

特徴と由来

●新潟県長岡市山古志地域

 カグラナンバンは、新潟県の中越、上越地域で栽培されるトウガラシです。ここでは、長岡市山古志地域で栽培されているカグラナンバンについて紹介します。
(1)形態
 形はベル型で、ピーマンを上下に押しつぶしたような形をしています。果肉はピーマンより厚くてパプリカに近く、タテにしわの寄ったゴツゴツとした形をしており、その形が"神楽面"に似ていることから「かぐら」の名が付いたと言われています。
 果肉自体はそれほど辛くなく、通称スジとワタ(隔壁と胎座および種子)に辛みがあります。果肉のほのかな甘みとワタのさわやかな辛みが特長です。
(2)「山古志かぐらなんばん」
 いつ山古志地域に導入されたかは不明ですが、100年以上も前から栽培されています。
 中越大震災の際には種子も一緒に持ち出され、仮設住宅でも栽培が続けられました。

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左 :トウガラシとしては珍しいベル型 / 右 :しわがバランス良く入っているものが好まれる

食べ方

(1)調理
 季節の野菜(ミョウガ、シソの実)と一緒に漬け込むたたき漬け、味噌炒め、甘露煮、肉詰めなどで食されています。 また、山古志中学校の生徒が考案したカグラナンバン肉団子入りの「やまこし汁」は スキー場の定番メニューです。ワタの量で辛さを調節することができます。
(2)加工品
 カグラナンバン味噌、甘露煮、しょうゆ、オイル、ジャムなどが商品化されています。

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山古志産のカグラナンバンを使った加工品

産地の動向

(1)「山古志かぐらなんばん保存会」
 中越大震災からの復興を目的に、普及センターが展開したソフト事業を契機に「山古志かぐらなんばん保存会」が設立されました。現在32名が会員になっており、種の保存(採種)と栽培の継承等を目的に活動しています。
(2)次代への栽培の継承
 山古志中学校では カグラナンバンを総合学習のテーマの1つとしており、栽培指導は保存会会員が行っています。 次世代へ引き継がれるよう願いながら、生徒達との交流を深めています。

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圃場での生育状況

執筆者
燕紀子
新潟県長岡農業普及指導センター 主査普及指導員

写真提供
新潟県長岡農業普及指導センター

●月刊「技術と普及」平成27年10月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載