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清水森ナンバ -400年の歴史をもつトウガラシ

2016年10月05日

特徴と由来

●青森県弘前市

 清水森ナンバは、津軽藩の初代藩主・津軽為信(ためのぶ)公が京都から持ち帰って広めたのが栽培の始まりと伝えられています。400年以上の歴史をもつ在来種のトウガラシ「弘前在来」で、弘前市の清水森地区で栽培が盛んだったことが名前の由来となっています。
 形状は大ぶりで、肩が張り、長さが20cm以上となるものもあります。国内の他の品種と比較して、糖分やビタミンA、C、Eの含有率が高く、ほどよい辛さと独特の風味をもっています。

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清水森ナンバの果実肥大期

利用方法

 早穫りの青トウガラシは、油炒めや素焼きにして軽く味付けすればおいしく食べられ、ご飯のおかずはもとより、お酒のおつまみにも最適で、ボリューム感のある歯触りと独特の風味を楽しむことができます。
 また、一味唐辛子、一升漬、なんばん漬、醤油漬け、グリーンカレーペースト、チリソース、飴、ドーナツ、ソフトクリームなど、さまざまな加工品が開発・販売されています。このうち、一升漬は、第8回日本おみやげアカデミーグランプリ金賞を受賞しています。
 さらに、飲食店では、清水森ナンバを使用したペペロンチーノやカレーライス、豚辛丼・豚辛焼などが商品化されています。

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清水森ナンバのソフトクリーム

産地の動向

 為信公により清水森ナンバがもたらされて以降、弘前市ではトウガラシの栽培が盛んになりました。昭和40年代の最盛期には10ha程度栽培され、全国に誇れる一大産地として名を馳せていましたが、安価な輸入トウガラシが全国流通するようになると、輸入物に押されて生産量は減少しました。
 昭和50年代には70aに減少。平成に入ると1戸の農家15aの栽培となり、品種そのものの存続が危ぶまれる状況にありました。
 この危機的な状況を打破し、伝統の味を守ろうと、平成16年に地元関係者や学識経験者などが産学官連携で「在来津軽清水森ナンバブランド確立研究会」を設立しました。さらに地域ブランドとして位置づけるため、平成19年に「清水森ナンバ」を商標出願し、翌年登録となっています。
 メディアに取り上げられることで知名度は飛躍的に高まりましたが、さらなるブランド化をめざし、栽培技術の向上に取り組んでいます。

執筆者
野呂幸男
青森県農林水産部農林水産政策課 主幹(農業革新支援専門員)

●月刊「技術と普及」平成27年10月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載