オオムギの休眠を制御する新たな仕組みを発見 -降雨による収穫前の発芽防止が可能に-
2016年05月23日
岡山大学資源植物科学研究所の佐藤和広教授、農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の小松田隆夫主席研究員らの国際共同研究グループは、オオムギの発芽を一定期間休止させる主要な種子休眠性遺伝子「Qsd1」の配列を特定。Qsd1が種子の胚の中で特異的に作用し、植物種子の休眠性では報告のないアラニンアミノ酸転移酵素を制御することで、休眠をコントロールする仕組みを世界で初めて突き止めた。
また、300品種余りの遺伝子配列の比較解析によって、イスラエル付近(南レバント)の野生オオムギから醸造用のオオムギ(休眠の短い品種)の祖先が起源し、その後その中から、ビールなどの麦芽製造の際に休眠の短い突然変異品種が選抜され、世界各地に伝わった歴史も判明した。
本研究成果によって、オオムギ品種の遺伝子配列の差を利用した種子休眠の調節が可能になり、穂発芽の防止や麦芽醸造に適したオオムギの品種開発が進むと大いに期待される。
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