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大玉・高糖度のモモ新品種「飛騨おとめ」

2014年10月01日

育成の背景
 岐阜県飛騨地方では、モモは「白鳳」と「昭和白桃」を主要品種として、市場出荷を始め直売や贈答用宅配などで販売されています。しかし、両品種の間には収穫量が落ち込む端境期があるため、この2つの品種をつなぐ新品種の育成が望まれていました。

 そこで、岐阜県中山間農業研究所では、主要品種の「白鳳」と「昭和白桃」の中間時期に収穫できるオリジナル新品種「飛騨おとめ」を育成しました。


育成の経過
 1998年に晩生の「川中島白桃」に早生の「やまなし白鳳」の花粉を交配して得られた個体の中から選抜した交雑品種です。2012年11月に「飛騨おとめ」と命名して品種登録を出願し、2013年12月に品種登録されました(第22894号)。


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品種特性
 「飛騨おとめ」の収穫期は育成地において8月中旬~下旬で、「白鳳」より約10日遅く、「昭和白桃」より6日早く収穫できる中生品種です。果実はやや腰高の円形で320g程度と大玉となります。果実糖度は16%を超え、酸度はpH4.9前後で食味良好です。また、着色しやすく果形がよく、外観良好な品種です。


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栽培上の留意点
 花粉が少ないため、着果不足が心配される場合は、人工授粉が必要です。また、葉芽が少なく枝がはげ上がりやすいため、せん定時には切り戻しを適宜行います。裂果の発生がなく無袋栽培も可能ですが、病害虫防除と着色向上を目的として有袋栽培を基本とします。なお、当面は栽培可能地域が岐阜県内に限定されています。


執筆者
岐阜県中山間農業研究所
宮本善秋