賀茂なす-京の夏を代表する京野菜
2014年05月21日
京の夏を彩る野菜"ナス"
●栽培地域 :京都市・亀岡市・綾部市・京丹後市
夏の京野菜といえば、光沢があり大きくて丸い特徴的な形をした"賀茂なす"を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
京都府では、明治以前からの導入の歴史がある「九条ねぎ」「みず菜」「聖護院だいこん」といった37品目の野菜を京の伝統野菜に指定しています。
その中でも、ナスは「賀茂なす」「京山科なす」「もぎなす」の3品目があり、そのうち「賀茂なす」「京山科なす」は京のブランド産品にも指定されています。また京都では、「千両なす」の栽培も盛んで、ナスは京の夏を彩る野菜です。
ナスの女王ともいえる風格と味わいを持つ賀茂なす
(提供:(公社)京のふるさと産品協会)
特徴と由来
賀茂なすは表面の光沢が美しく、へたの下が白い、大型の丸ナスです。へたが3つに分かれ三角形になった「三へた」のものが良いとされています。また、実がしまり、ずっしりとした重みが特徴で、煮炊きしても煮くずれせず、ナスの女王ともいえる風格と味わいを持つ京の逸品です。
栽培の起源は、「雍州府志(ようしゅうふし)」(1684年)に丸くて大きいナスが栽培されていた記述が残されており、その頃すでに栽培されていたことを読み取ることができます。栽培当初は、現在の京都市左京区あたりで栽培されていたようで、その後、京都市北区上賀茂、西賀茂およびその周辺で栽培されるようになり、主産地であった上賀茂・西賀茂の地名が名前の由来となっています。
栽培方法
露地とハウス半促成栽培が行われていることから、5月~10月の長期間にわたり安定した出荷が行われています。定植時期を早めたり、ハウス栽培を行うことで、出荷時期の早期化に努めるとともに、夏に切り戻し剪定を行い、適切な栽培管理を行うことで、晩秋まで出荷が行えるようにしています。
なお、大きくなり過ぎると、色つやを失ってくすんだようになります。また、日当たりが悪いと果色が赤紫色になりやすいため、枝をやや開き気味に誘引して日当たりを良くしたり、樹の負担を軽くするため着果量を制限し、水分と肥料を切らさないように管理します。
賀茂なすの栽培の歴史は1684年にまで遡る
(提供:(公社)京のふるさと産品協会)
佐藤隆司
京都府農林水産部流通・ブランド戦略課 農業革新支援専門員
写真提供:(公社)京のふるさと産品協会
●月刊「技術と普及」平成25年6月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載