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田辺大根-認証制度で発掘と復活すすむ「なにわの伝統野菜」

2014年04月23日

なにわの伝統野菜

●栽培地域 :大阪市東住吉地区

 大阪は江戸時代「天下の台所」と呼ばれたように、古くから食文化が栄え、その食文化を支える大阪独特の野菜が多数ありました。
 しかし、戦後、農産物の生産性を上げるための品種改良や農地の宅地化、食生活の洋風化が進み、地域独特の歴史や伝統を有する野菜が次々に店頭から消えていきました。

 そこで、大阪府では関係機関等と協力し、各地域の農業者が守ってきた「なにわの伝統野菜」の発掘と復活に取り組み、平成17年10月に「なにわの伝統野菜認証制度」を開始しました。

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なにわの伝統野菜認証マーク

 大阪府では現在、「なにわの伝統野菜」として、田辺大根を含む17品目を認定しています。

由来と特徴

 「田辺大根」は、大阪市東成郡田辺地区(現大阪市東住吉区)の特産である白首のダイコンで、天保7年の「名物名産略記」に記載があります。

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収穫された田辺だいこん

 本品種のルーツは、白あがり京大根とねずみ大根との交雑後代が、当地区に土着したのではないかとされています。
 明治時代の田辺大根は、短根で縦横がほぼ同長のものでしたが、次第に長型に淘汰改良されました。根部は白色の円筒形で、末端が少し膨大し、丸みを帯び、長さ20cm、太さ9cmほどで、葉には毛(もう)じがありません。

産地の動向

 原産地である大阪市の他、河南町、貝塚市、堺市など府内各地で生産され、市場や農産物直売所等へ出荷されています。

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食べ方

 肉質はぎっしりと緻密で、柔らかく甘みがあります。
 また、煮くずれしにくいため、煮物に適し、独特の風味と辛さは、漬物や辛みそばにも合います。 

作型

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 低温感応により抽苔しやすいため、春作は困難で、播種時期は9月が適期です。
 1a当たり700~800株の栽培で、収量は300~400kgです。

執筆者
大阪府環境農林水産部農政室推進課 地産地消推進グループ

●月刊「技術と普及」平成24年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載