稲ワラ有効利用のための収集作業
2007年11月07日
稲ワラの収集体系には、天候や圃場条件、機械装備などに応じて様々な方式があります。ここでは代表的な以下の2つの体系を紹介します。
どちらの体系も、水分15%程度まで圃場乾燥できれば、そのまま貯蔵が可能です。しかし、乾燥が不十分な条件で高密度にロールベールに梱包した場合には、発熱や品質劣化が生ずるので、ラップフィルムで密封する必要があります。
稲ワラ乾燥速度データ(盛岡2006)
1.自脱コンバインから排出された稲ワラを圃場にバラ落としする方法
(1)圃場にバラ落としした稲ワラは、牧草用機械のテッダ・レーキで反転・集草してロールベーラで梱包するのが一般的です。
(2)この方法は、畜産農家が所有している機械が利用できるため、低コストで高能率な体系ですが、圃場の排水性が良好であり、天候が比較的安定している地域であることが導入条件になります。稲ワラ収集用に開発された自走ロールベーラを用いると、軟弱な圃場でも収集作業は可能になります。
(3)乾燥過程で降雨があった場合には、テッダによる転草が乾燥促進に有効です。また、コンバイン収穫の際に高刈りすることで乾燥を早めることができます。
(4)コンバインの排ワラカッタで切断(20cm前後)するか、切断機構付きのロールベーラで切断・梱包すると、飼料・敷料として利用するときに作業が容易になります。
2.自脱コンバインのノッタ(結束装置)を用いて立ちワラにする方法
(1)結束した稲ワラを圃場に立てて乾燥させるため、乾燥には2~3週間かかりますが、バラ落としに比べて降雨の影響を受けにくい特徴があります。
(2)立ちワラは、1本立てでは乾燥の過程で倒れ易いため、穂先をワラで縛って4本立てにするのが一般的で、このための労力が必要です。その際、コンバインから排出されると同時に、穂先を上にして稲わらが立つ立体放出機構を装備した自脱コンバインを用いると省力的です。
(3)収集作業では、乾燥した稲ワラをトレーラなどに人手で積み込んで搬出する方法と、ロールベーラで梱包して搬出する省力的な方法が行なわれています。梱包作業に自走ロールベーラを用いれば、軟弱な圃場でも収集作業は可能になります。
執筆者
東北農業研究センター 東北水田輪作研究チーム 上席研究員
大谷 隆二(おおたに りゅうじ )
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