大型無柱ハウスと営農型ソーラーで野菜栽培に取り組む
2018年12月12日
(株)クボタは、自社が持つハードとソフトを活用し、省力・低コストや精密技術を実践する場として、全国13カ所で「クボタファーム」を展開している。
その中のひとつ、(株)アグリ中九州は、熊本市と阿蘇山の中間に位置する大津町で、高糖度トマト栽培や営農型ソーラーを活用した野菜栽培に取り組んでいる。
(株)中九州クボタは、2010年4月に農業に参入し、水稲、ダイズ、ソバを栽培していたが、2013年1月に、農業生産法人として(株)アグリ中九州を設立。2014年には1.5haの農地を取得して「大津農場」として運営を開始した。
(株)アグリ中九州の社員は3名、パートは2名の計5名。
農業未経験のスタッフが多い為、(株)クボタからのバックアップと併せて、常日頃より各自が自主的に知識の習得に励んでいる。
大型無柱ハウスで高品質トマトを栽培
「大津農場」を訪れると、間口20mもの2棟の大型ハウスが目に入る。
第1ハウスは約300坪で、アイメックフィルム(クボタフイルム栽培システム)を使用して「フルティカ」を、プロファーム(環境制御装置)とココバック(培地管理システム)を活用した約400坪の第2ハウスは「りんか409」を栽培。養液量を調整して作られる高品質・高糖度のトマトは、「げんきとまと」ブランドとして出荷されている。
営農型発電設備の設置
営農型発電設備(営農型ソーラーパネル)(※1)は、平成26年10月、36aの圃場に設置された。パネルの高さは地上3mあり、その下ではトラクタ等の農業機械での作業が可能で、ハクサイ、キャベツ、ホウレンソウ、サツマイモ等を栽培している。
慣行の8割の収量が得られないと営農型発電として認められないが(※2)、アグリ中九州はこれを達成。ソーラーパネルによる遮光率は27~30%で、強日射が遮られたことで、品質の向上が見られたという。
発電能力は10a当たり約42kW。ハーフサイズのパネルを使用しており、使用するサイズについての実証もおこなっているところだ。
※1 営農型発電設備 :農地に支柱を立てて、営農を適切に継続しながら上部空間に設置する太陽光発電設備等の発電設備のこと
※2 「営農型発電設備の実務用Q&A」(農林水産省)より
GAP認証の取得
平成30年5月、トマト栽培においてASIAGAP青果物Ver.2の認証を取得した。
「認証の取得によりスタッフの意識が変わった」と川口さん。「何気なく作業を行うのではなく、『なぜこの作業が必要なのか?』といった根拠を知ることで作業への理解が深まり、生産・維持管理体制が円滑に進むようになった」という変化があったとのことだ。
整理整頓された作業場では、スタッフによるサツマイモの出荷作業が行われていた
米の生産も視野に入れており、来年度中には、米についてもGAP認証を取得する予定だ。(株)熊本玄米研究所(同じく(株)中九州クボタのグループ会社)が作るグルテンフリーの玄米パスタや玄米ペーストパンを2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に出品する計画もある。
新しい技術や資材を取り入れて実践し、これからも地域農業へ貢献する。(みんなの農業広場事務局)