提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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全国農業システム化研究会|提案一覧


大豆・麦

狭畦密植無培土による大豆の省力栽培技術 (長野県・平成18~19年度)

背景と取組みのねらい

 実証地区である松本農業改良普及センター管内では、水田利用の一形態として、大豆・麦の栽培に取り組んでいる。
 しかし、粘土質土壌のため排水不良となりやすく、出芽が安定せず、麦では生育不安定、大豆では雑草の発生が課題となっており、収量・品質向上技術、効率的作業体系導入が要望されていた。

提案する作業体系(作業名と使用機械)

(大豆) 
sustemka_nagano_5.jpg

作業別の能率と効果(大豆)

1.施肥 能率と作業効果
 
ブロードキャスタ

散布精度、均一性が高く、作業能力は、10aあたり5~10分。

●型式 : 
MP506-OS

●仕様 :
適用トラクタ 40PS~
散布方式 スパウト
ホッパ容量 500L
散布幅 6~14m


2.排水対策 能率と作業効果
 
プラウ型溝切り機

幅30cm、深さ約20cmで排水側を深めに掘る。
作業速度は早く、10a当たり9分でこなすことができ、効率的に作業を行うことができた。

●型式 :
PD251

●仕様 :
適用トラクタ 30~60PS
溝深さ 25cm
溝幅地表幅 25cm
溝底幅 18cm
作業速度 4.0~6.0km/h


3.播種作業
(耕うん同時畝立て)
能率と作業効果
 
耕うん同時畝立て播種機


ロータリーシーダ(慣行区)


アップカットロータリのため、作業速度がやや遅くなったが、耕起と播種が1工程のため慣行のプラソイラ(耕起整地)+ロータリシーダの体系よりも、作業時間が短縮された。
ロータリ幅220cm、条間45cm、畝高約15cm。

●型式 :
アッパーロータリ BUR2208
シーダー MRX‐8

●仕様 : 
BUR2208
適応トラクタ 55~85PS
作業深さ 12~15cm
作業速度 1~3km/h
作業能率 12~36分/100m
MRX‐8 単独鎮圧タイプ5条


 ※耕うん同時畝立てに関するサイトはこちら
4.除草剤散布 能率と作業効果
 
ブームスプレイヤ

作業速度が早いので、除草剤散布能力が高い。
また、均一な散布が可能である。
播種後、および生育期処理により、高い除草効果が得られた。 

●型式 :
KBM410D(搭載型)

●仕様 :
適応機種 GR16-75(最低地上高600mm)
薬剤タンク容量 450L
散布幅 10m
作業能率 130~180a/h


5-1.中間管理作業
(生育中の除草剤散布)
能率と作業効果
 
ブームスプレイヤ

作業速度が早いので、除草剤散布能力が高い。
また、均一な散布が可能である。
播種後、および生育期処理により、高い除草効果が得られた。 

●型式 :
KBM410D(搭載型)

●仕様 :
適応機種 GR16-75(最低地上高600mm)
薬剤タンク容量 450L
散布幅 10m
作業能率 130~180a/h


5-2.中間管理作業
(病害虫防除)
能率と作業効果
 
ラジコンヘリ


1時間あたりの作業能率は6~10ha。広域的な適期防除が省力的に実施できる。

●型式 : 
YAMAHA RMAX

●仕様 :
全幅 720mm
全高 1080mm
全長/ローター含む全長 3630mm
薬剤積載量 16kg
実用距離(目視範囲) 150m(水平距離)まで


6.コンバイン収穫 能率と作業効果

大豆用コンバイン

レバー1本による操作性が良く、畝立ての高低差にも十分な対応ができた。 刈取り高さも一定に保たれ、刈り残しや汚粒の発生が少なく、良好な機種であった。 また、開口部が広く、点検等もしやすかった。

●型式 :
ARH380‐CG 

●仕様 :
刈幅 1546mm
タンク容量 950L


成果

●耕うん同時畝立て播種は、出芽苗立ち、初期生育が安定するため、慣行ロータリー区に比べると約6%の増収になった。(10a当たりの坪刈子実重は実証区426kg、慣行区403kgで、あった)
●品質は、100粒重が慣行区を上回った。
●農家の意見では、畦立て播種は、湿害回避だけでなく、干ばつ対策としても効果があるとの評価が得られた。
●作業時間は、慣行栽培で播種前に2回行っていた耕起作業が、畝立て播種により1回となり、10%程度短縮することができた。
●経営的評価では、畝立て播種は、収量の増加により、慣行に比べて10a当たり3,000円程度の収益増加が期待できる。
●松本地域では、耕うん同時畝立て播種技術の導入面積は、大豆・麦・そばを合わせて、平成17年の7haから、平成19年には53haへ増加している。
今後ますます、他の粘土質土壌地区への普及が期待される。
●課題としては、 (1)畝間の排水溝の幅が広くなると雑草が発生しやすくなることや、 (2)アップカットロータリを使用するため、耕うん爪の減りが早い、 などが挙げられる。

対象場所

長野県松本市寿地区


 

松本市は、長野県中央部の盆地に位置する。 
平均気温11.5℃、降水量1,020mm
松本農業改良普及センター管内では、経営耕地に 占める水田の割合が61.4%。
作付面積は、水稲7,710ha、大豆844ha、麦類1,350ha 

(平成18~19年度 長野県松本農業改良普及センター)