提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ
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集落営農組織や大規模経営農家に農作業が集約され、田植え作業が長期間にわたるようになった。このため、田植え直前に、苗箱に殺虫殺菌剤(以下「箱施薬剤」)を散布する作業や、田植え後・雑草発生前に行う除草剤散布作業は田植え作業と重なり、作業効率の低下や、除草剤の適期散布ができなくなる等の問題が発生していた。
このことから、田植えと箱施薬剤、除草剤散布作業を同時に行う技術の確立が望まれている。
1.箱施薬剤調整 | 能率と効果 |
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![]() 箱施薬剤散布機 「箱まきちゃん」 ![]() 50g/箱以下で調整 |
使用基準を超えないよう、50g/箱以下で調整。 エンジン停止時と稼働時では、吐出量が微妙に変わるため、調整はエンジンを稼働させて実施。 H20年度実証試験実施地区 実証区散布量平均 45.7g/箱 ●型式 : HSY8 ●仕様 : ホッパ容量 3.5L×2 |
2.除草剤調整 | 能率と効果 |
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![]() こまきちゃん |
同じ1kgの設定でも、除草剤により吐出量が変わるため、散布量が使用基準を超えないよう調整。 H20年度実証試験実施地区 実証区散布量平均 0.90kg/10a ●型式 CS-10 ●仕様 : 薬剤形状 粒状 散布幅 1.2~2.4m ホッパ容量 5L |
3.箱施薬剤補正散布 | 能率と効果 |
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![]() |
田植え作業開始時は、最初の苗の端の部分には「箱まきちゃん」では薬剤が届かないため、この部分には、箱施薬剤の手散布が必要である。 |
●田植え同時箱施薬剤・除草剤散布作業を実施すると、別々に作業する場合に比べ、作業時間が5.2分/10a(※1)短縮された。
●薬剤の散布は均一で、散布精度は、箱施薬剤が45.7g/箱(※2)、除草剤が0.90kg/10a(※3)であった。
●箱施薬剤の病害虫防除効果、除草剤の除草効果とも、慣行栽培と同等であった。
●箱施薬剤の病害虫防除効果は、使用苗箱数が少ない疎植栽培(45株/坪程度)では、面積当たりの箱施薬剤の使用量は少なくなるが、田植え後1カ月程度は、慣行栽培(60株/坪程度)と同等であった。
●除草剤は、散布量が使用基準である1kg/10aより20%程度少なくなった場合でも、除草効果に問題はなかった。
※1 対照区と田植機が同じ4地区平均
※2 10地区、11実証区平均
※3 10地区、14実証区平均
●箱施薬剤、除草剤とも、同じ設定でも薬剤によって吐出量が変わるため、必ず実施前に調整を行う。
●エンジン停止時と稼働時では、吐出量が微妙に変わるため、箱施薬剤の調整は、エンジン稼働状態で行う。
●田植え作業開始時の最初の苗の端の部分に「箱まきちゃん」では薬剤が届かないため、補正散布(手散布)が必要。
●田植え後に土の戻りが悪いほ場は、薬害の出る危険性があるため、田植え同時除草剤散布は避ける。
●田植え作業(除草剤同時散布)後はすみやかに入水し、水深3~5cmに湛水する。
平成20年度田植え同時(箱施薬剤・除草剤)散布作業試験実施地区
山形県最上総合支庁農業技術普及課
栃木県南那須農業振興事務所経営普及部
埼玉県本庄農林振興センター
長野県松本農業改良普及センター
新潟県新潟農業普及指導センター
三重県中央農業改良普及センター
滋賀県東近江地域振興局農産普及課
京都府中丹農業改良普及センター
福岡県飯塚地域農業改良普及センター
熊本県天草地域振興局農業普及指導課
宮崎県南那珂農林振興局