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自動操舵トラクタの作業効率改善効果に関する実証調査(鹿児島県 令和4年度)

背景と取組のねらい

 農業就業者の高齢化に伴う離農によって、農地は一部の担い手に集約される状況が続いているが、集約された農地は中小区画、分散の傾向がある。担い手においても熟練した就労者が不足しており、経営管理、栽培管理だけでなく労務管理の負担が大きくなっている。これらを解決するスマート農業が期待されており、土地利用型農業では農作業のロボット化が期待されている。
 そこで、GNSSを利用した無人自動運転機能のスマート機能を持つロボットトラクタを活用した、農作業効率化や精度向上、並びに新たな作業技術や作業体系について検討をおこなった。

対象場所

鹿児島県南さつま市金峰町 鹿児島県農業開発総合センター内ほ場

試験方法

試験1   自動操舵トラクタ(SL600GS)の作業性能調査
  1-1 GS機能を活用した溝掘り機の作業性調査
  1-2 GS機能を活用した効率的な排水対策調査
試験2   GSトラクタの直進性低下要因の検証


●測位の種類と作業精度および想定される作業
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●供試機械
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クボタGSトラクタ(SL600GS)

・自動操舵トラクタ(GSトラクタ)は、設定した基準線(A点・B点を結ぶ線)に平行に自動走行する。
・D-GNSSアンテナユニットと姿勢計測ユニットで機体位置と進行方向を演算し、ハンドルを内蔵モータで自動操舵する。
・自動操舵による直進アシスト可能作業速度は0.1~8km/hであるが、推奨作動条件は作業速度0.5~5km/h、作業距離300m以内、傾斜7度以下である。

●自動操舵手順
①作業方向に基準点を登録
②基準線や隣接畝に±3°以内で沿い一定距離を保ち、速度0.1~5.4km/hで3m程度走行(作業)
③方位角等を演算後に液晶モニタに「作業可能」と表示
④スイッチを押し自動操作を開始
⑤作業終点でスイッチを押し自動操作を終了。自動操作中にハンドル操作を行うと、自動操作は解除される。

 SL600GSはガイダンスモニタを搭載し、自車中心線、現在の走行ライン、次行程の目標ラインが表示される。畝合わせは自車中心線と目標ラインを合わせて行う。
 また、補正機能により走行位置を左右に調節可能である。補正ボタン1押しあたりの補正量は0.5cm~5.0cmまで0.5cm刻みで設定が可能。

試験1-1:GS機能を活用した溝掘り機の作業性調査

1.試験方法
●試験期日
 2022年11月4日

●供試機
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GSトラクタ SL600GS+溝掘り機 RT40

●試験区の構成
 作業条件:自動操舵、手動操舵
 作業速度:0.5km/h

●試験条件
 AB点の設定は、張り綱を目印にトラクタの前後を綱上に調整し行う。
 感度設定:普通、エンジン回転:助走1,500rpm、自動操舵起動後2,500prm。

●作業方法
 自動操舵は、基準点登録後に施工位置に移動し、ガイダンスに従い自動操舵による直進アシストでの作業開始。
 手動操舵は、土壌表面に引いた線を目印にして、オペレータが走行する。

●調査項目
 作業精度(直進性、作業後勾配)。


2.試験経過の概要
 溝掘り機の作業は、トラクタSL600GSを使用し長辺方向76m、勾配1%ほ場で行った。AB点登録後ガイダンスモニタ指示で作業位置設定を行い、自動操作可能な地点から作業した。
 作業速度は、自動操舵最低速度の0.5km/h、溝深さは40cmに設定した(写真1)。対照区は、手動操舵により作業速度を0.5km/hで行った。どちらも、オペレータは深さ調整は行わず、ほ場の勾配に合わせ走行した。


3.試験結果および考察
 自動操舵による直進アシスト溝掘り作業では、開始地点0mで2cm程度、終了の70m地点で12cmの誤差があった。手動操舵の溝掘り作業では、最大10cm程度の誤差となった(表1、図1)


表1 溝掘り機の作業精度
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図1 溝掘機の基準線からの距離と直進性

 溝掘り作業が、自動操舵、手動操舵で右側にずれる原因として、溝掘り機がトラクタ右後方にオフセット装着されているため、右方向の力が発生したと考えられた(写真1)。自動操舵では、直進アシスト機能により目印線なしで一定程度の直線作業が可能である。今回の自動操舵の作業精度は、手動操舵の目印線に従った作業と同等の直進性であり実用性があった。手動操舵では、低速での操作では、目印線がない場合には操作が困難なため作業精度は低下すると考える。

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写真1 溝掘り機

 作業速度は自動操舵・手動操舵ともに、設定速度0.5km/hに対して0.48km/hであった。溝深さは自動操舵・手動操舵ともに40cmに設定し40cmであった。溝の勾配は、ほ場の勾配1%を利用して作業し、勾配1.2%となり設定に近い値となった(図2)。30m付近での勾配の変化は、圃場の土壌表面の勾配の影響をうけたと考える。

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図2 溝掘機施工後の溝傾斜


4.まとめ
・GSトラクタによる直進アシストでの溝掘り機を利用した作業は、排水対策として実用で問題のない精度であった。生産現場の手動操舵では、目印線を引く手間がかかるため見通しで行う事から、今回の結果よりも直進性が劣ると予想される。このためGSトラクタによる直進アシスト機能は、溝掘り作業においても有効と考える。
・手動操舵による低速(0.5km/h)での操作は難しいが、自動操舵による直進アシストによりオペレータの操作負担が軽減されたと考えられた。

試験1-2:GS機能を活用した効率的な排水対策調査

1.試験方法
●試験期日
 11月10日 カットドレーン施工、プラソイラ施工
 12月12日 排水効果確認(シリンダインテークレート)

●供試機
 GSトラクタ SL600GS
 カットドレーンmini KSDM-03M
 プラソイラJ503BE

●試験区の構成
 シリンダインテークレート調査による作業機ごとの排水性検討
  ・カットドレ-ン+プラソイラ区
  ・カットドレ-ン区
  ・プラソイラ区
  ・無処理区
  ※地表面からの施工深さ カットドレーン50cm、プラソイラ30cm
  ※作業速度:カットドレーン0.5km/h、プラソイラ1.0km/h

●試験条件
 AB点の設定は、張り綱を目印にトラクタの前後を綱上に調整して行う
 感度設定:普通、エンジン回転:助走1,500rpm、自動操舵起動後2,500prm

●作業方法
 カットドレーンの自動操舵では、三角土砂溜まりから手動操舵で作業を開始し、直進できる平行施工位置まで移動して、自動操舵を開始。8m間隔で平行にカットドレーンにて排水施工を行った。手動操舵は、オペレータが目印に従って三角土砂溜まりから放射状に手動で走行した。

●調査項目
 作業精度、作業能率、浸水量、土壌水分
 排水対策効果確認:シリンダインテークレート法


2.試験経過の概要
●カットドレーン作業
 自動操舵を33a(長辺76m×短辺43m)のほ場で、手動操舵を30a(長辺70m×短辺43m)の三角土砂溜まりがある隣接ほ場で調査した(写真2)

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写真2 カットドレーン後方(左)と側面(右)

 手動操舵では、三角土砂溜まりから放射状にカットドレーンにより排水施工した。
 自動操舵では、放射状での直進アシストできないため、手動操舵により三角土砂溜まりから平行施工位置までカットドレーンによる排水施工をカーブ走行しながら行い、引き続き平行施工開始位置から自動操舵に移行し排水施工した(図3)。施工はどちらも片道耕、作業速度0.5km/hで行った。
 施工終了後にさらなる排水性向上のため、プラソイラを作業速度1.0km/hでカットドレーンと直交方向に施工した区を設けた(図3)

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図3 排水対策試験ほ場
左 :手動操舵  / 右 :曲線は手動操舵、直線部分は自動操舵



●施工方法が排水におよぼす影響調査
 シリンダインテークレートでの排水性、土壌水分調査を行った(写真3、4)
 11月10日の排水対策施工後に降雨が続き、11月中の降雨は153.5mmとなった。12月4日、5日と降雨が続き、表面の土壌水分が落ち着いた12月12日に調査を行った。土壌に十分水分を含んだ状態での調査となった。

○シリンダインテークレート法
・測定器具:鉄製円筒、打込鉄板、打込槌、ゲージ、ストップウォッチ、水運搬具等
・鉄製円筒の長さ(高さ)は30~35cm、内径30cm、外径45cmを使用
・円筒の設置測定方法および測定方法
①内側φ30cm、外側にφ45cmの金属製円筒を2重に設置し、鉄板を渡し、打込槌で水平に約20cm程度、土に打ち込む。
②円筒内側土壌表面に、ビニルをしき円筒外に水を満たし、水深を10~15cmとする。
③ビニルをしいた内側円筒に水を満たし、ビニルを速やかに取り去り水面高を測定(動画)
④測定開始後1、3、5、10分(後は5分ごと)に水面位置を測定、記録した。
④水位が下がったら読み取り後に水を加え、その前後の水位を記録する。60分を過ぎて水位の変化が一定になったら終了。

r4sys_kagoshima_i4.jpg  r4sys_kagoshima_i4-2.jpg 
左 :写真3 水を周りに入れる様子
右 :写真4 測定時の様子

benri_movie1.jpg(クリックで動画再生)


3.試験結果および考察
●作業精度と作業時間の調査
 自動操舵での誤差は、1行程目64cm、2行程目80cm、3行程目7cm、4行程目7cm、5行程目8cmとなった(表2、図4)


表2 カットドレーン作業の基準線からの距離と間隔誤差
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図4 カットドレーン作業の基準線からの距離と直進性


 カットドレーンの施工深さは、自動操舵、手動操作ともに地表面から45cmであった。
 自動操舵でのカットドレーン作業時間は、19.9分/10aであった。内訳は、人力5.8分/10a、自動操舵10.9分/10a、旋回・回行2.4分/10a、作業開始時の深さ調整、スリップによる調整・停止0.8分/10aであった。
 手動操舵の作業時間は、15.9分/10a、旋回・回行2.9分/10aであった。有効作業速度は自動操舵0.4km/h、手動操舵0.5km/hであった(表3)
 自動操舵でのカットドレーン施工は、三角土砂溜まりに近い行程ほど、誤差が大きくなった。平行施工開始地点までの距離が短いため、手動操舵でのカーブ施工角度が鋭角になることから操作のが難しく誤差が大きくなったと考える。


表3 カットドレーンGS、人力操作時の作業時間比較
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●施工方法の違いが土壌水分と排水効果に与える影響
 土壌水分の調査では、11月10日施工後に定期的な降雨があり、どの施工区でも土壌水分量が高い状態であったと考える。


表4 シリンダインテークレート調査時の土壌水分含水比D.B.% (12月12日)
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 シリンダインテークレート法により浸入水量調査を行った(写真4)
開始後10分程度は浸水量は多いが、その後安定し、90分を過ぎると一定となり150分まで調査した。
 開始60分までの5分ごとの浸入水量は、カットドレーン区25mm程度、カットドレーン+プラソイラ区20mm程度、プラソイラ区10mm程度、無処理区5mm程度であり、カットドレーン区の排水効果が高かった(図5、図6)。カットドレーン+プラソイラ区の排水効果が高いと想定していたが、カットドレーン区の積算浸入量が高い結果となった。この結果の要因として、カットドレーンの施工穴を潰さないために、プラソイラ施工深さが地表面から30cmと浅く、調査時のシリンダインテークレートの設置位置や土壌状態が影響したと考える。


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図5 シリンダインテークレート施工区ごとの積算侵入量


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図6 カットドレーン+プラソイラ区と無処理区の積算浸入量と浸入速度の比較


4.まとめ
・三角土砂溜まりを利用した作業で、自動操舵のカットドレーンでの作業が可能であった。三角土砂溜まりに近い施工位置では、手動操舵の難易度があがるため、施工位置誤差が大きくなったが、排水対策に対する精度としては十分な精度であった。
・低速(0.5㎞/h)では手動操舵による直進操作のハンドル操作は難しかったが、自動操舵の直進機能を使用することで、オペレータの操作負担が大幅に軽減された。
・排水効果は、カットドレーン+プラソイラ区が高いと想定したが、今回のシリンダインテークレート法で調査では、カットドレーンの積算浸入量が多くなった。カットドレーンの施工穴を潰さないために、プラソイラ施工深さを地表面から30cmとして浅かったことと,調査時のシリンダインテークレートの設置位置が影響したと考える。

試験2:GSトラクタの直進性低下要因の検証

1.試験方法
●供試機
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 GSトラクタ SL600GS+作業機(ロータリ)

●試験期日
 2022年10月14日、11月4日

●試験区の構成
フロントウエイトの有無と作業時間、助走距離がGS性能に与える影響調査
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作業工程は往復 作業機はロータリ

●試験条件
 AB点の設定は張り綱を目印にトラクタの前後を調整し行う。
 AB点登録後ガイダンスモニタ指示により2往復4行程でおこなった。
 作業速度:1.0km/h
 感度設定:普通
 エンジン回転:助走1,500rpm、自動操作起動後2,500prm、行程間隔ロータリ:200cm

●作業方法
 長辺60mでの基準線点登録後、枕地助走中にガイダンスで隣接合わせを行い、自動操舵により作業を開始した。

●調査項目
 行程間隔、直進性、衛星配置
 トラクタ補足情報は測位状況、補足衛星数、水平精度劣化指数(HDOP)、位置精度劣化指数(PDOP)、衛星配置の偏り、信号雑音比が表示される。

 位置精度指数とは衛星配置のばらつきを指標化したもので、値が小さいことが望ましい。
 位置精度劣化指数は、水平精度劣化指数(HDOP)と垂直精度劣化指数(VDOP)の合成指数で、水平精度劣化指数(HDOP)は精度劣化指数のうち、水平成分だけを指標化。


2.試験経過の概要
●直進性、行程間隔調査
 GSトラクタ直進低下要因を検証するため、各種作業条件で直進性、行程間隔等を調査した。作業条件として、100kgのフロントウエイト有無、午前午後の時間帯、助走距離15mと3mの違いが直進性に与える影響を調査した(写真5)。衛星配置状況把握は、トラクタ液晶パネルに表示される数値とした。

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写真5 綱によるAB点設定

●調査方法
 1.0km/h、AB点登録で基準線作成後、ガイダンスモニタで畝合わせし、A地点横もしくはB地点横から進入、1行程60m、4行程作業を行った。
 行程間隔と直進性調査は、作業機中央のマーカ線を長辺方向5mごとに計測した(写真6、7)

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左 :ロータリに装置したマーカ(写真6)
右 :行程間隔調査(写真7)


●助走距離15mと3mが直進性に与える影響調査
 GSトラクタの自動操舵は、基準線±3°で3m程度助走した後利用可能となる。通常の助走距離は3m程度であるが延長した助走距離15mが直進性や行程間隔に与える影響を調査した。
 作業条件等は、フロントウエイト有無調査と同一である。

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3.試験結果および考察
●フロントウエイト有無が直進性に与える影響調査
 フロントウエイト(100kg)有無の違いが、直進性に与える影響を作業条件を午前、午後、行程間隔200cmで調査した(表1、2)

 午前中の調査では、フロントウエイト有りで設定間隔に対する最大のずれが-27cm、各工程誤差を平均した値は、4cm、12cm、18cmとなり全行程での平均11.3cmとなった。フロントウエイト無しでは、設定間隔に対する最大のずれが-35cm、各工程誤差を平均した値は、11cm,7cm,26cmとなり全行程での平均14.7cmとなった。

 午後の調査では、フロントウエイト有りで設定間隔に対する最大のずれが24cm、各工程誤差を平均した値は、3cm,6cm,11cmとなり全行程での平均17cmとなった。フロントウエイト無しでは、設定間隔に対する最大のずれが-38cm、各工程誤差を平均した値は、21cm,3cm,27cmとなり全行程での平均17cmとなった。

 午前はフロントウエイトの効果は若干見られたが、午後はフロントウエイト無しでの誤差が大きくなった(図1、2)。午後からは水平精度劣化指数(HDOP)、位置精度劣化指数(PDOP)の数値が午前と比較して劣化していたため、フロントウエイト無しでは直進性の劣化が顕著であったが、フロントウエイト有りでは無しと比較すると進性が向上する傾向が見られた。要因として前輪への荷重により、操舵を的確に土壌に伝えることができと考えた。

表1 フロントウエイト有無が直進性と間隔誤差に与える影響(午前)
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図1 フロントウエイト有無が直進性と間隔誤差に与える影響(午前)


表2 フロントウエイト有無が直進性と間隔誤差に与える影響(午後)
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図2 フロントウエイト有無が直進性と間隔誤差に与える影響(午後)

●進入時の自動操舵開始までの助走距離15mと3mの違いが直進性に与える影響
 助走距離15mと3mの違いが、直進性に与える影響を作業条件ウエイト有・午前、行程間隔200cmで調査した。助走15mで設定間隔に対する最大のずれが-16cm、各工程誤差を平均した値は、4~7cmで平均5.6cmとなった。助走3mは、設定間隔に対する最大のずれが-17cm、各工程誤差を平均した値は、0~9cmで平均5cmとなった(表3、図3)


表3 自動操舵開始までの助走距離15mと3mが直進性と間隔誤差に与える影響(ウエイト有)
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図3 自動操舵開始までの助走15mと3mが直進性と間隔誤差に与える影響(ウエイト有)

 作業条件ウエイト無・午後、行程間隔200cmでの調査では、助走15mで設定間隔に対する最大のずれが-23cm、各工程誤差を平均した値は、13~19cmで平均15.3cmとなった。助走3mは、設定間隔に対する最大のずれが-16cm、各工程誤差を平均した値は、4~11cmで平均8.3cmとなった(表4、図4)
 今回の調査では、助走距離15mと3mの違いが、進性性に与える影響は判然としなかった。


表4 自動操舵開始までの助走15mと3mが直進性と間隔誤差に与える影響(ウエイト無)
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図4 自動操舵開始までの助走15mと3mの違いが直進性と間隔誤差に与える影響(ウエイト無)

4.まとめ
・フロントウエイトにより行程ごとの間隔誤差が改善される傾向が見られた。
・今回の調査では、午後の衛星配置の水平精度劣化指数と位置劣化指数の条件が劣化したが、フロントウエイトにより誤差が抑えられる結果となった。
・助走距離15mと3mの違いが直進性に与える影響は判然としなかった。


●実証年度及び担当指導普及センター
(令和4年度 鹿児島県農業開発総合センター園芸作物部農機研究室)