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再生農地での作物のつくり方



キビ

2008年10月07日

(2024年2月 一部改訂)

概要

「由来と特徴」
●キビは、イネ科、キビ属に分類される一年生草本作物です。
●栽培キビは、穂の形態上の違いから、散穂型キビ、片穂型キビ、および密植型キビにわけられます。
●実の色の黄実(キミ)が、キビの語源になったと言われています。
●品種によって白、黄や褐色のものもあります。

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キビの実 (提供 :日本雑穀協会)

●栽培キビの原産地は、中央~東アジアの温帯地域と推定されています。
●日本へは、華北から朝鮮を経て伝わったと推定されています。
●続日本紀(715年)の五穀には、ヒエ、アワがでてきますが、キビは、200年後の倭名類聚抄に初めて登場します。
●すなわち、コメ、ムギ、アワ、ヒエよりも遅れて伝来したか、あるいは重要度が低かったようです。

「栽培状況と利用法」
●明治時代こそ2~3万haの栽培があったものの、その後作付面積は減少し続けました。
●現在にいたっては、栽培面積は全国でわずか250haです。
●主産地は、全国の生産量の約半分を占める沖縄県のほか、岩手県、長野県の3県です。
●日本では現在、伝統的なハレ食の餅や団子に加工するためキビ栽培が残っており、そのほとんどがモチ性品種です。
●ヨーロッパや中央アジア、西南アジアなどのユーラシア大陸中西部のキビのほとんどは、ウルチ性品種です。

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成熟期のキビ

主な品種と種子の入手方法

●モチ性では、精白粒が黄色のキビ信濃1号(長野)、精白粒が白色のキビ信濃2号(長野)、釜石16(岩手)があります。
●ウルチ性では、田老系(岩手)などが知られています。(以上、代表的なもの)
●沖縄県では波照間島在来種のほかに、子黍(コキビ)などがあります。
●種子は種苗会社で販売していないので、最寄りの農協や農家から分けてもらうか、インターネットなどで検索し入手するしかありません。

栽培

「播種前の準備」
●雑草防除のためには、プラウ耕により深く耕すことをすすめます。
●プラウが無い場合は、ロータリー耕あるいは鍬で土を細かく砕いておくと、出芽率が良くなります。
●キビは多湿をきらうので、水はけの良い畑を選ぶと、生育が良くなります。
●施肥は、堆厩肥を10aあたり4t程度、施します。
●酸性の強い畑では、石灰質資材を施して、pH6.0前後に酸度を矯正します。
●堆厩肥が入手できない場合は、化学肥料(窒素、リン酸、カリ)をそれぞれ10aあたり5kg程度、元肥で施します。

「播種」
●播種は、関東の場合、5月上旬から6月下旬まで可能です。

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モチキビの播種 (提供 :日本雑穀協会)

●10aあたり600g~1kgの種子を準備し、畦幅50~60cm程度で、点播か条播します。
●点播の場合は、株間15cmで、1株あたり5粒程度播種します。
●条播の場合は、播き幅10cm以内で播種します。
●播種深度は1cm程度とし、深くならないように注意します。
●出芽揃い後2週間頃と、さらに2週間後の2回に分けて、間引きます。
●間引きの目安は、畦1mに30株程度残すようにします。

「除草と土寄せ」
●生育初期には雑草負けするので、株元を念入りに除草します。
●節間伸長が始まる播種後50日くらいまでは、2週間ごとに除草し、土寄せしましょう。

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中耕除草

●約2カ月で出穂し、さらに30日程度で登熟します。
●穂が黄化し登熟したら、収穫可能です。
●収穫は、バインダーまたは手刈りでおこないます。
●結束して1週間程度、天日または通風乾燥します。
●栽培規模が大きければ、汎用コンバインが利用できます。
●脱穀には、イネ用の脱穀機を代用できます。
●ゴミなどを取り除くためにふるいにかけ、風選します。

「病害虫と鳥獣害対策」
●病害はほとんど気にしなくても良いのですが、虫害はメイチュウに食害されやすいので耕種的あるいは化学的防除で対処すれば、減収を抑えることができます。
●キビは熟すと脱粒しやすく、スズメなどの鳥害も激しいので、早めに収穫することが肝要です。
●収穫期は、東北地方で9月上中旬、関東地方で9月中旬~10月上旬、暖地の夏作で8月、秋作で11月頃です。

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点播したキビの出穂期

執筆者 
倉内伸幸
日本大学生物資源科学部教授

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