提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ
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1.稲わらの腐熟を促進させるためには、「土壌に混和する」ことが有効です。しっかりと土中に入らなくても、土壌と接触し、微生物による分解が進むことが肝要です。秋期に降雨が続き、ロータリ耕うんがしにくい条件でも、チゼルプラウ(商品名:スタブルカルチ、スーパーカルチなど)を用いて稲わらを混和することで、腐熟が進みます。
2.腐熟を促進させる資材としては、微生物によるワラの分解を早める働きの窒素や、土壌の酸性を緩和し、微生物の活動を促す働きの石灰を含む資材が有効とされています。その両方を含む「石灰窒素」は、腐熟促進効果が高いことから、広く用いられています。施用量は、10a当たり10~20kg程度で十分です。施用後に稲わらと一緒に土壌に混和します。
ただし、翌年の稲作において、一度稲わらに取り込まれた窒素が出穂期以降に稲に利用されるため、「やや倒伏しやすくなる」こと、「玄米タンパクが高まる」ことが懸念されます。
そこで、石灰窒素の窒素分(施用量×0.21)のおよそ3分の1程度を基肥から差し引く必要があります。10a当たり20kg石灰窒素を用いた場合、20kg×0.21=4.2kgの窒素が秋冬に入りますので、翌春の基肥の窒素成分量を1.4kg程度減らすことをおすすめします。基肥-追肥体系であれば、穂肥を控えることをおすすめします。
リン酸、カリは、減らす必要はありませんが、窒素成分量を減らすことに伴って、リン酸、カリの施用量も減ったとしても、さほど大きな影響はありません。
なお、石灰窒素はアルカリ性なので、散布作業中に誤って吸い込むことのないよう、注意してください。
※品種はひとめぼれを想定して回答しています