提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ
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ご質問の内容からすると、近年問題となっている雑草イネだと思われます。
圃場全体及び地域の水田へ拡散しないうちに、以下の対策を行ってください。
1.雑草イネとは
雑草イネとは赤米など由来不明のイネで、穂から籾がこぼれやすく(脱粒する)、雑草のように増加します。放置すると、農業機械や用水などを介して周りの圃場に拡散し、地域の水稲生産に大きな被害をもたらします。色彩選別機で除去したとしても、圃場の雑草イネは減ることはありません。放置すると収量低下の原因にもなるので、早期に発見し、被害の小さいうちに対応する必要があります。
2.雑草イネの特徴
多くの雑草イネは、以下のような特徴があります。
・出穂後2週間程度から脱粒し始める(発芽能力あり)。
・出穂期や草丈が栽培品種と異なる。
・籾の色が褐色~黒色になる物が多い。
・籾の先端や芒が赤い物が多い。
3.雑草イネの防除対策
(1)収穫後~作付け前までの対策
・非選択性除草剤の散布(ひこばえ防除)
収穫後に再生する個体を枯らす(籾をつけさせない)。
・石灰窒素の散布(表層に落ちた籾を死滅させる)
10aあたり石灰窒素50kgを均一に散布し、3週間以上経過してから耕起する。
翌年は、水稲の10aあたり基肥窒素施用を2kg程度減肥する。
・非選択性除草剤の散布(出芽個体防除)
春先の耕起前に出芽個体を枯らす
(2)水稲栽培期間中の対策
・有効除草剤の散布
雑草イネに効果のある除草剤を、7~10日間隔を目安に2~3回散布する。
・手取り除草
栽培品種と異なる特徴(前述)のイネを定期的に取り除く。出穂後2週間までに、根から抜き取る。
4.その他の対策
(1)遅植え
・作付け時期を遅くし、先に発芽する雑草イネを埋め込んだり、非選択性の除草剤で防除した後に移植する。
(2)機械除草
・移植後の早い時期に機械除草すると、水稲条間に発生した雑草イネを減らすことができる。