提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ
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一般にいもち病の感染源として知られるのは、罹病した穂から採った種籾です。これが元で苗いもち、葉いもちが発生し、飛散した胞子が直接あるいは止葉を介して穂に付着することで、穂いもち発生の原因になります。畦畔からの感染ですが、雑草にイネのいもち病に良く似た病斑が見られることがありますが、これはイネのいもち病菌とは異なります。
罹病したイネのわらなどからも胞子が飛散することが知られていますが、その期間はほ場に落とされてから100日以内といわれ、翌年の感染にはつながらないとされています。
以上のことから、穂いもち発生の感染源は葉いもちと考えられます。
葉いもちが見えなくても穂いもちが発生する例は、以前から知られています。この場合の感染源としては、近隣の田からの飛散も考えられますが、風通しの良い上位葉には病斑が見えなくても、風通しの悪い群落内の遅い分げつの葉などで病斑が作られ、目に付きにくい感染源になっている可能性が考えられます。
感染源の有無の他にも、ほ場の環境条件やイネの生理状態・抵抗力などの影響を受けます。
山陰や谷間の風通しが悪く露が乾きにくい田は、胞子がイネに侵入するのに好適な条件といえます。また、周囲の品種よりいもち病に弱い品種を植えていれば当然ですし、土が深く、肥料が遅効きしやすい田でも、葉いもちの発生が尾を引いて穂いもちにつながりやすくなります。
対策としては、いもち病に強い品種の作付、幼穂形成期までに葉色がさめるような肥培管理、幼穂形成期以降の下位葉の発病状況を見ての防除などに留意しましょう。通常、粉剤や液剤での防除でなら穂孕期、穂揃期に散布しますが、幼穂形成期~穂孕期の粒剤散布とすれば降雨の影響も受けにくく、安定した効果が期待できます。
また、葉いもちが見られず穂が枯れるという症状から、籾枯細菌病、内頴褐変病などの可能性も否定できませんので、お近くの指導機関に相談してみてはいかがでしょうか。