ダボハゼのつまみ喰い 【7】
2007年11月16日
【この時期美味になる食用菊 “阿房宮、延命楽 、越天楽”】
関 康洋
誰が付けたか知らないが、「阿房宮」「延命楽」「越天楽」、なんてシックで優雅なネーミングだろう。これみんな食用菊の品種名。菊は皇室の紋章なので、このような優雅な名前が付いたのだろうか。
阿房宮とは、秦の始皇帝が建てた宮殿の名。黄花で青森県の南部地方を中心として栽培されている。
延命楽は別名モッテノホカ、カキノモト、オモイノホカと呼ばれ、赤紫色の花で、最も名の知れ渡っている食用菊。新潟、山形、岩手、秋田県などで栽培されている。
越天楽は、山形県立園芸試験場で開発した黄花の早生品種だ。
仕事をサボって菊の花摘みをしていたことがある。
同行した関西出身の方に、怪訝そうな顔で「花を摘んで何するんですか? 来年のための株養成ですか?」と聴かれた。
「これは食用菊で、今晩の酒の肴にするのだ」と言うと、「食用菊とは、料理の横にチョコンと乗っている小さな菊の花しか知らない。こんな大きな黄色や赤紫の菊の花を乗せたら、メイン料理が目立たなくなるばかりか、何処にあるか分からなくなってしまう。また菊の花は飾りであり、食べられると言うものの、食べている人を見たことが無い」と言う。
この時期、産地の山形や青森ではごくありふれた食材で、花びらをサッと湯がいて、おひたしや酢の物、また、生の花びらを天ぷらやサラダなどにして食べる。シャキシャキした食感とほのかな菊の香り、甘みが特徴である。
一度も食べたことのない方は、是非トライしてみてください。今がモッテノホカ等の旬です。今ならほとんどのスーパーマーケットで販売しています。
花ビラを蒸してから乾燥したキク海苔は、1年中入手できる。
菊花は古くから漢方薬や長寿薬、去痰薬として利用されていた。また、民間療法としてあかぎれ、しもやけ、腫れ物などには、生のキクの花の絞り汁を患部に塗布すると効果があるとも言われている。
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せき やすひろ
社団法人全国農業改良普及支援協会