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信州発 “農”と言える日本人 【34】

2012年01月20日

ノーミン谷の仲間たち

                              高見澤勇太


これは“ムーミン”ではなく“ノーミン”のお話です。


近所の気の合う仲間5組の家族で、慰安旅行に出かけた。
総勢17人で出発進行。
日程は1月3~4日の1泊2日、宿泊は昼神温泉である。

子どもたちが小さかった頃は毎年恒例の行事であったが、近年は受験や部活動など、子どもたちのスケジュールが過密になり、中止。数年ぶりの開催にこぎつけた。


最年少が中学3年で、年長が22歳。
もう親と旅行なんてイヤ、ましてや、近所のおじさんおばさんと一緒なんて冗談じゃないという年頃の子どもたちが、8人も参加した。
「なんて良い子どもたちなんだ」「きっと親の育て方がよかったんだ」と自画自賛した。


ちなみに、タイトルのノーミン谷とは、この会のネーミングを考えたときに、アニメのムーミンと農業をする農民の語呂が合うところと、どっちも谷に住んでいることから命名された。
「なんとウィットに富んだ名前なんだろう」と、これまた自画自賛。
事実、ホテルの仲居さんの話だが、宿泊客の子どもの1人が『この名前、間違えてるよ、ノーミンじゃなくてムーミンだよね』と話している光景を目撃したそうだ。
なんだかちょっと嬉しくなった。

もう一つ、ホテルのフロントでは『ノーミン谷の村民はこれで全員ですか?』と聞かれたそうだ。
もうちょっと多いです。


楽しい仲間たちだが、どの家族もまだ、後継者が後を継いでいない。
今回参加していない子どもも含めて、20歳以上が7人いる。
役場職員、一般企業、服飾関係の社会人が3人。
この春卒業の2人も、就職先が内定している。

自分が住む海尻地区は農家戸数が約50軒あるが、後継者が20代は0人、30代が2人。
このままの状況だと、20年後はどうなるのか考えた。
自分が67歳になると、これより若い年齢の農家は約5軒になる。
世の流れには逆らえないが、守って行きたいものがある。


魚の鮭は川を下って海に出て、4年後に同じ川に帰ってくると聞く。
自分たちの子どもも、数年後には、もっとたくましくなってノーミン谷に帰ってくる。
そんな希望を抱きながら、待ってるよ。農家の小せがれたちよ。

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」


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