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信州発 “農”と言える日本人 【23】

2011年02月25日

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を村議会議員が読んだら

        高見澤勇太


 村議会議員の任期があと2カ月余りとなった最近、べストセラー「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んだ。
 初版が発刊されてから1年以上経った現在、発行部数200万部突破。マンガ化、アニメ化、映画化とすごい勢いで広がりを見せている。


 議員の仕事に行き詰まりを感じていたことと、2期目に挑戦することへの妻の反対もあり、議員生活にピリオドを打つ気持ちでいた。
 しかし元来、出会うものに感動して影響されやすい性格の持ち主である自分は「新人マネージャーと野球部の仲間たちがドラッカーを読んで甲子園を目指す青春小説」にすぐ引き込まれてしまった。
 自分も「村会議員という立場で目指すことがあるのではないか?」「もう47歳、中年真っただ中の自分でも何かに熱くなってみたい!」と感じてしまった。
 それに現在高校3年の長男が野球部で甲子園を目指し青春していたことも相まって、ラストシーンでは不覚にも涙してしまった。


  


 この話を農業に置き換えてみた。
 自分の住む南牧村は農業立村である。大規模農業で、白菜、レタス、キャベツなど単一品目を大量生産し、販売している。
 隣村の川上村ではレタス栽培が盛んで、「平均年収2500万円の農村」という本を藤原忠彦村長が出版したほどだ。
 

 農家が栽培しやすくて、お金が稼げる作物を作る。それは当たり前のことで、今まではそれでよかった(自分を中心に考えていた頃)。
 しかし、物があふれて人々が自分の欲しい物を選別して買う時代では、農家も考え方を変える必要があるのではないか(顧客を中心に考えてみる)。


○われわれの使命(事業)は何か
 ・農作物を作り提供するだけでいいのか?
○われわれの顧客は誰か
 ・買ってくれるお客さんを想像して作物を作る
○顧客にとっての価値は何か
 ・考え方の多様化で価値観はさまざま
○われわれにとっての成果とは何か
 ・お金もうけだけではないはず
○われわれは何を廃棄するべきか
 ・手放さなければ得られないものがある
○農家もイノベーションを起こす
 ・栽培技術の革新よりも、農家の脳内革命
○われわれの組織体制はどうあるべきか
 ・農家が農協運営を他人まかせにしている現実
○リーダーシップとチームワークの必要性
 ・それぞれが社長の農家もチームワークが必要
 ・それをまとめるリーダーも重要


 キーワードはいろいろあるが、それらを全員で共有して、真摯な気持ちを忘れずにいたい。
 そして、農業界の甲子園を自分たちで創造して、それを目指していきたい。そんな農業界の甲子園球児、高見澤勇太47歳であった。


●参考文献
岩崎夏海著
 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」


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