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信州発 “農”と言える日本人 【17】

2010年08月26日

観光業と農業は異業種なのか?

        高見澤勇太


 先日、佐久地域の観光シンポジウムが開催された。

 基調講演をされた(株)JTB常務取締役、清水慎一氏の話を聞いて、自分が所属する長野八ヶ岳農協の現状と似ている気がした。


 清水氏によると、「信州の観光は曲がり角に来ている」という。ここ10年間で観光客のニーズや動向が急激に変化したそうだ。

▽高速道路休日1000円などにより日帰り客は多いが、宿泊は減
▽テーマパーク的な箱もの観光は、一度来たらもう飽きる
▽恵まれた観光資源に安住してはいけない
▽住民の主体的な取り組みがポイント
▽バラバラではいけない
その他、さまざま指摘があった。


   


 今現在、「長野八ヶ岳農協も曲がり角に来ている」。10年以上昔の野菜王国の姿は、今ここにはない。

▽100円ショップ的な安い野菜が主流になった
▽こだわりのない野菜は、購買意欲をそそらない
▽恵まれた自然環境に安住して野菜生産をしている。販売努力が乏しい
▽農協任せで農家のセールストークがない
▽個人主義で、全体の統一ブランドを確立する気持ちがない
何か、清水氏の話に似ている。


 清水氏による信州観光復活のカギは・・・
●佐久らしさ=佐久にしかないものを活かした観光
●今の観光客は、観光地巡りよりも、元気な商店街・直売所が好き
●「テーマ・ストーリー」
●「語る人」
●住民が暮らしを楽しんでいるところに、観光客が来たくなる
その他にもキーワードを示してくれた。


 この信州観光復活のカギが長野八ヶ岳農協にも・・・
●長野八ヶ岳農協「らしさ」をもっと活かす
●   〃   の組合員が一般生活者と一緒に楽しめる農業
●野菜作りに対する農家・地域の「テーマ・ストーリー」をアピールする
●それを生活者の方に「語れる」“人材”(人財)作り
●生活者がもっと“楽しく”農業をする生産者の近くに来て対話できる
やらねばならぬ事はたくさんある。


 この復活のカギを開ける第一歩はなんだろう?
それを実現するには『人財』と『楽しく』ではないか?
◎“人”という財産を創ろう!
◎“楽しい”農業をしよう!

今・・・オレは・・・そう・・・思う・・・。


 最後に清水氏はこう話していた。
「私の今話したことは、もう全国の観光地でやろうとしています」
「さあやりましょう! 2周遅れのトップでもいいんですから」・・・と。

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」


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