信州発 “農”と言える日本人 【1】
2009年04月08日
コラボレーション
高見澤勇太
3月27日(金)、長野県農業士協会の総会と同時開催で、中央研修会が催されました。
演題は、『長野県農業士協会とべジフルコミュニティながのとのコラボレーション』で、副題は、“ベジタブル&フルーツマイスター(野菜ソムリエ)と何ができる?”。長野県在住の野菜ソムリエの女性3名を招き、パネルディスカッションを開催しました。
農家は、おいしい野菜・果物を生産するプロです。しかし「自分たちの生産物をアピールする方法がわからない」ため、農業祭・イベントなどで、直接お客さんと接しながら販売してみるものの、思いをうまく伝えられないことが少なくありません。
一方、野菜ソムリエの仲間からは、「生産者と生活者を結ぶ架け橋となりたい」という声を多く聞きます。
そこで、双方の悩みを解決すべく、このコラボレーションの開催となりました。
「農業フェスティバル」の写真を見ながら、当日の状況を実演し、パネラーの見解を聞くスタイルで進行しました。農業フェスティバルは、若手農家が自分たちの生産した農産物を販売するイベントで、毎年10月下旬に、長野市のビッグハットで行われています。
「販売員の心構えは」から始まったレクチャー内容は、
◇服装
初めて会って、15秒で第一印象が決定してしまう。衣服・エプロン・帽子など、清潔感のあるものを着用するとよい。
◇立ち居振る舞い
立ち方・歩き方・表情など。表情は、自然の笑顔を意識する。パネラーの方は、いつも自分のデスクの上に鏡を置いて、普段からセルフトレーニングしているそうです。
◇言葉遣い
相手に合わせた尊敬語・丁寧語・方言の使い分け。はじめは敬語で話し、しばらくして会話が弾んできたら、方言を交えると親近感が生まれる。
◇話す内容
マイナスの表現は使わないようにする。「高齢化でどうにもならない」「今野菜が売れない」「りんごの栽培は大変」などは禁句。
プラスの表現を使う。「この野菜は、私が作った特別なものです」「ほっべたが落ちるぐらい美味しいですよ」。苦労話だけではない、収穫までの物語を伝えよう。
◇商品ディスプレーの方法
陳列棚を飾るのはもちろん、その後ろが大切です。お客さんから見えるバックヤードが乱雑では、イメージダウンになってしまう。
と続き、予定時間をだいぶオーバーしました。
会員の感想です。
●今まで、なにげなくしていた仕草の中に、コミュニケーションの第一歩が隠れていたことを実感した。
●いつもなら居眠りをしてしまうが、面白い内容なので時間が過ぎるのを忘れてしまった。
●ぜひ、これから一緒になって長野県の農業・農家・農業士協会を盛り上げていきたい。
その他にも、前向きな感想・意見が、たくさん聞こえてきました。
農業士も野菜ソムリエも、共通するのは野菜・果物の大好きな仲間ということ。その仲間たちが、得意分野を集結してアクションを起こせば、すごいパワーが生れる! そんな予感がした自分が、そこにいました。
※なぜコラムタイトルが『信州発“農”と言える日本人』なのか??
日本人1億2000万人の人たちに、日本の“農”業の良さを知ってもらい、『“農”を語れる日本人』になってほしいと願う筆者。
外国産の安い農産物を買いたくなるご時世でも、外国産は『“NO”と言える日本人』が増えていくことを願いつつ、信州の山奥から、筆者が見た農業の実態を発信したい気持から、このタイトルにたどり着いた・・・。
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たかみざわ ゆうた
1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」