「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【106】
2022年11月15日
「東京味わいフェスタ2022 TASTE of TOKYO」を訪問
東京産の農林水産物を知り、それらを使用して東京の有名レストランのシェフたちが作る料理を味わい、東京の「農業」や「食」の魅力を発見し、それを国内外に発信することを目的として開催されている「東京味わいフェスタ TASTE of TOKYO」。
昨年まではコロナ禍で中止となっていましたが、今年は4年ぶりに、丸の内、日比谷、有楽町、豊洲の4箇所で開催されると聞き、東京産の野菜、江戸東京野菜の展示販売が行われる丸の内会場を訪ねることにしました。
会場は多くの人でにぎわい、活気にあふれていました。東京産の野菜で作られた「東京やさい宝船」の展示を始め、都内各地の野菜の販売、多肉植物を使った苔玉作りのワークショップ、東京産の野菜を使ったスムージーやスープの販売、八丈島のアシタバ加工品の紹介などが各テントで行われ、どこもワクワクするものばかりです。
一番の目的であった江戸東京野菜のテントを訪ねると、なかなかお目にかかることのできない貴重な江戸東京野菜が一堂に会していました。また、江戸東京野菜を学んだ時の講師の方や、ともに学んだ仲間たちに会うこともでき、貴重な野菜に出会えたことと同じくらいうれしい気持ちになりました。
しばらくテントの前で様子を見ていると、たくさんの方が江戸東京野菜に興味をもって近づき、さまざまな感想を話していました。
細長い練馬大根を指さして「こんな形の大根初めて見たわ~。練馬大根っていう名前は聞いたことがあったけれどこんな形だったのね」。ひょろりと長い滝野川大長ニンジンと手のひらサイズの馬込三寸ニンジンを見比べて「こんな形のニンジンがあるのね。面白いわね」。
また、小さなお子さんたちも、寺島ナスを見て「ナスの赤ちゃんみたい」。縄でくくられた千住ネギの"太刀まるき"を見て「格好いい!」。内藤カボチャは「ハロウィンのかぼちゃとちょっと違うね」などと、ふだん見かける野菜とはちょっぴり異なる見た目の野菜を、まるで観察しているかのように、よく見ていました。
江戸東京野菜の展示の横では、江戸東京野菜や各地の伝統野菜、固定種の野菜の販売も行われていました。
このような野菜は、現地へ行かなければなかなか食べることができないので、どれもこれも買って帰り味わってみたくなりましたが、今回、私が購入したのは江戸東京野菜の千住ねぎとべか菜、高知県の潮江菜、山形県の甚五右衛門芋と藤沢かぶ、長野県のていざなす、新潟県の神楽なんばんです。
中でも、べか菜は、今年9月に江戸東京野菜の一つとして仲間入りしたばかり。会場にいらした江戸東京・伝統野菜研究会代表である大竹道茂先生から、「ぜひ、味わってみるといい」と勧められ、手にしたものです。
ベか菜は、明治時代の初期に中国山東省から導入された、漬け菜の一種である山東菜の若採り野菜。葉がやわらかく、茎も筋っぽさがなくみずみずしいので、生のまま漬物やサラダで、さっと火を通して煮浸しなどでもおいしく食べられる野菜です。
また、会場にも展示されていた、このベか菜は、国際宇宙ステーション内でも栽培されているのです。数ある野菜の中から見た目の鮮やかさや噛みごたえ、風味や食感を総合してトップの評価を得て、採用に至ったとのこと。遠く離れた宇宙ステーションでも同じ野菜を食べている人がいると思うと、より一層感慨深いものがあります。
▼日本野菜が国際宇宙ステーションで"収穫"された - 「東京べかな」はナゼ宇宙に行った?
(外部リンク:Business Insider Japan)

たしろ ゆきこ
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。